(読売 7月15日)
2個のフラスコを、ゴム管でつないだ簡単な実験装置。
片方のフラスコ内で水を沸騰させ、水蒸気を他方のフラスコに導き、
ゴム管の開閉を調節すると、水がくみ上げられる。
液体が気化すると、体積が大きくなる原理を利用したもので、
見えない力に押されるような水の動きに、生徒も興味津々。
大阪教育大付属天王寺中学校3年の理科「エネルギー」の授業。
この実験装置、実は17世紀、英国で登場した
「セイバリー・ポンプ」の模型。
「理科の達人先生」表彰(NPO法人ネットジャーナリスト協会主催)で
科学技術振興機構理事長賞に輝いた広瀬明浩・同中教諭(48)が、
文献を基に作った。
「300年前のハイテク」と種明かしすると、
「へぇー」と感心したようなざわめきが起こった。
「生徒は敏感、教師のやる気を肌で感じる」との思いが、
教材開発の原動力で、授業にもコンテスト形式を取り入れてきた。
「授業は、スリリングなライブショー。
シナリオ通りの時もあれば、生徒の反応が予想外の時も。
正しい理解に導くのが楽しい」
◆感動重視 予習させない
新学習指導要領に盛り込まれた原子力発電や放射線。
「達人先生」で、読売新聞社賞に選ばれた
品川区立小中一貫校伊藤学園の坂内温実教諭(48)は、
2008年、科学教育番組「進む放射線利用と原子力ルネッサンス」
の制作に協力し、番組の進行役を務めた。
内容は、放射線は身近な自然界に存在し、
医療や農業にも役立っていることや、
原子力発電の仕組みから過去の事故の解説まで。
新分野をどう教えればよいか、悩む教師の手助けとなる。
自身は、校外から専門家を招いて授業を行った。
「環境やエネルギー問題とも絡むので、教えるのは難しい。
正しい情報や科学的事実を、理解させることが大切だ」
ふだんから、授業は理科室で、実験はなるべく生徒自身の手で、
と考えている。
生徒には、「授業前に教科書を見るなどの、予習はしないで」と。
感動が薄れるからだ。
「教科書を覚えるのではなく、印象に残る、
五感で感じる授業にしたい」
最近の子どもは、日常の様々な体験が少ないとも嘆く。
「子どもの体験の場として、学校が担う役割は大きくなりつつある」、
理科の授業に力が入る。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100715-OYT8T00220.htm
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