(毎日 7月16日)
今夏、長野・菅平に全国トップ級の中学生ラガーマンが集う。
単独チームによる初の全国大会「全国中学生大会」(8月13、14日)
が新設、第1回はラグビースクールの部、中学校の部に
関東、関西、九州の3地域協会が推薦する計8チームが参加。
規模は小さいが、主催の日本ラグビー協会は、
来年以降はチーム数を増やす意向。
中学の指導者の間では、「チーム数が増え、高校ラグビーの『花園』の
ようになれば選手の励みになる」と期待感は大きい。
19年ラグビー・ワールドカップ(W杯)の国内初開催に向け、
日本協会は底辺の拡大を図っている。
中学年代の充実は長年の懸案だが、ラグビーは
日本中学校体育連盟には準加盟で、全国大会は年末に
大阪・花園で開催する「選抜チーム」の全国ジュニア大会しかなかった。
日本ラグビー協会競技力向上・普及担当の前田嘉昭理事は、
「単独チームの目標となる全国大会を作ることで、
中学校の部活動を活性化させたい」と力を込める。
今年から、中学校とスクールの複数チームに選手登録することも可能にし、
活動しやすいように配慮。
09年度の全国のラグビー人口は、3416チーム、11万4741人。
少子化などの影響で、94年度の16万6978人をピークに
減少の一途をたどっている。
小学生が中心のラグビースクールは約2万6800人、高校は約3万人、
間をつなぐ中学校は7000人余りで、競技離れが懸念。
ラグビースクールが盛んな九州では、約3分の2のスクールで
中学生も指導するが、競技の普及にはやはり部活動が欠かせない。
安全面への懸念、技術指導の専門性などを理由に、指導者が不足。
強化、普及の両面で、中学年代に溝ができる要因だ。
指導者不足に対し、公立の中高一貫校が一定の成果を上げている。
99年度から、全国で本格導入された中高一貫校は、
99年度の4校から09年度には370校に拡大、存在感を増した。
東京・千代田区立九段中等教育学校もその一つで、
既存の九段中と九段高を母体に、06年度から6年制に移行。
九段では07年春、高校ラグビー経験者で後期課程(高校)担当教諭の
松岡孝さん(39)が赴任、中学年代のラグビー部もできた。
松岡さんは中学、高校年代の合同練習を通して、部員を一貫指導。
中学年代の指導者不足を補った形。
今春から加わった前期課程(中学)担当教諭の指導者とも連携しつつ、
松岡さんは、「6年間統一した形で部員を指導できる」とメリット。
現部員は中学年代11、高校年代6の計17人。
安全面を考慮し、スクラムなどは一緒に行わないが、
ほとんどの練習を合同で行う。
中学チーム主将の山本敬介君(3年)は、
「体を当てる時の強さを身に着けられるし1段、2段上のレベルで練習できる」
5月の東京都春季大会2部トーナメントでは、
他の中学との合同チームで3位に入り、結果もついてきた。
他県では、花園常連校の香川・高松北高と連携する高松北中も、
高校指導者のサポートで下地を築き、07年にラグビー部を発足。
中高一貫校の数は、全国約1万の中学校総数からみれば、ごく一部。
高校の指導者や選手と効果的に協力関係を築くことは、
中学生の競技環境を整備するヒントになるかもしれない。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100716ddm035050056000c.html
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