2008年10月10日金曜日

第2部 かけ橋として/2 オーロラの魅力、中継

(毎日 10月5日)

ふと手にしたオーロラの写真集にひかれ、米国アラスカに飛んだ。
理工学部の学生だった21歳のとき。

さまざまな色や形の光のカーテンが全天を舞う
「オーロラ・ブレークアップ(爆発)」に遭遇。
「脳みその回路が飛び、足が震えて座り込んだほど衝撃を受けた。
これにしがみついて生きていかなければ、と思った」

コンテンツ制作会社「遊造」(東京都三鷹市)を経営する
古賀祐三さん(38)は、こう振り返る。
06年11月に始めたオーロラのネット生中継
「Live!オーロラ(http://aulive.net/)」は、会員が2万人を超え、
今年の科学ジャーナリスト賞も受けた。

進学した大学院では、情報処理を学んだ。
「オーロラで食っていく職業」として、科学者やカメラマン、旅行業界も考えたが、
「技術を身に着ければ、新しい道がある」と漠然と考えたからだ。
修了後、ソフトウエア会社に就職して画像認識・処理技術を磨き、29歳で独立。

当時は、淡いオーロラを撮影できるビデオカメラも、
大量データを送信できる通信網もなかった。
「コンピューターグラフィックスでオーロラの動画を自作し、DVDも作ったけど、
100本くらいしか売れなかった」と苦笑。

ホームページ制作などの仕事で食いつなぎながら、
「誰もが気軽にオーロラと接する場を作りたい」と、
オーロラの画像や仕組みなどを載せたウェブサイトを立ち上げた。

これがきっかけとなって、米アラスカ大の観測所に
高感度ビデオカメラを設置でき、生中継が実現。
パソコンや携帯電話のサイトでオーロラの動画を配信するほか、
大手映像会社からベストシーンを集めたDVDも発売。

徐々に軌道に乗り始めたが、あちこちで講演するたびに気になることがある。
「日本が、今も南極観測をやっていることを知らない人が多い」。
大人の科学離れは深刻。
科学を伝えるためにも、しっかりしたビジネスにしたい。
つぶれたら、後に続いてくれる人がいなくなる」と、古賀さんは強調する。
しっかり稼いで、「オーロラ中継キャラバン」として全国を巡回するのが夢だ。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20081005ddm016040041000c.html

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