2008年10月7日火曜日

ノーベル医学生理学賞:エイズウイルス発見の2博士らに

(毎日 10月6日)

スウェーデンのカロリンスカ研究所は、08年のノーベル医学生理学賞を、
独がんリサーチセンターのハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授(72)と、
仏パスツール研究所のフランソワーズ・バレシヌシ教授(61)、
仏パリ大のリュック・モンタニエ名誉教授(76)に授与すると発表。

授賞理由は、ツア・ハウゼン氏が
「子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルスの発見」。
バレシヌシとモンタニエ両氏は、「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の発見」。
この2種類のウイルスは、性交渉が原因で感染が広がる。
ウイルスの発見で病気の理解が深まり、治療法の開発につながったと評価。

授賞式は、12月10日にストックホルムで開かれる。
賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億4000万円)のうち、
半分をツアハウゼン氏、残りをバレシヌシ氏らが等分。

ツア・ハウゼン氏は、83年に子宮頸がんの患者から
ヒトパピローマウイルスのDNAを発見、そのウイルスの遺伝子を複製。
これが、感染を防ぐためのワクチン開発につながった。
子宮頸がんと診断された大半からパピローマウイルスが見つかり、
毎年50万人が感染。

バレシヌシ、モンタニエ両氏は83年、後天性免疫不全症候群(エイズ)の
患者から原因となるウイルス(HIV)を発見。
HIVにより発症したエイズが原因で、これまでに約2500万人が死亡。
両博士の発見で、ヒトのリンパ球の機能が弱まる仕組みが分かり、
ワクチン開発の道が開かれた。
世界保健機関によると、HIV感染者は3320万人(07年末現在)。

◇HIV「最初の発見者」論争、米仏で6年以上

HIVの発見を巡っては、モンタニエ氏らと、米国のロバート・ギャロ氏が
共に「最初の発見者」と主張し、論争を繰り広げた。

モンタニエ氏らは、エイズ患者から初めてウイルスを分離、
「LAV」と命名して83年に発表。

一方、ギャロ氏はその翌年、別のウイルス名で
「エイズの原因ウイルスを発見した」と発表。
論争は、米仏両国を巻き込んで6年以上続いたが、
遺伝子分析などで両者がほとんど同じと判明。
このウイルスは後にHIVと命名され、モンタニエ氏に軍配が上がった。

松下修三・熊本大教授(感染免疫学)は、
「ギャロ氏は、HIVの大量培養法や検査キットなどを開発し、
治療薬の開発につなげた。
ノーベル賞は、最初のウイルス分離を重視しモンタニエ氏らに贈られたが、
病気克服への貢献という意味では、両者の果たした役割は同じ程度に大きい」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081007k0000m040052000c.html

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