2008年10月10日金曜日

自転車を持って電車の旅に出よう――フランスの電車・自転車事情

(日経 08/10/03)

◆フランソワ・デュボワ

フランス出身のマリンバ奏者、作曲家。
キャリアマネジメントの手法、デュボワ・メソッド開発者。
フランスで作曲家、マリンバ・ソリストとして活躍後に来日。
慶応義塾大学で教鞭を執る。
キャリアマネージメント講座を慶応義塾大学にて開講。
『デュボワ・メソッド・スクール』で、自治体や企業にキャリアセミナーを提供。
マリンバ奏者としても、レジオン・ヴィオレット金章音楽部門受章(94年)受賞
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きょうは、この間のフランス旅行の際に見かけた面白いものを紹介。
両親の住むグルノーブルから、パリに1日の日帰り旅行をしたとき、
リヨン経由のTGV(新幹線)に乗った時のこと。

ブルゴワン・ジャイユ駅(グルノーブル地方)のホームで、
リヨン行きの電車を待っていると、たくさんの人が自転車を持って
電車を待っている光景を目に。
「あれ?電車が来たら、みんなどうするんだろう?!」
と不思議に思いながら、せっかくだから写真に撮ってしまえ、とカシャカシャ。

しかし、デジタル一眼レフのカメラはかなり目立つので、みんなの視線を浴び、
車内だったらもっと撮りやすいかもしれない、とカメラを仕舞いました。
電車のホームには、自転車を持って待つ人がちらほら。

すると、そこに1人の男性が近づいてきて、僕に声をかけてきた。
「あの、失礼ですが、写真を撮られている理由と、
それをどうされるのか伺ってもよろしいですか?」

びっくりして、なんだかバツの悪い気分になり、
罪悪感に襲われてしまいました。
「僕は、『日経エコロミー』という日本のメディアで、
エコロジーの連載をしているのですが、何かのネタにならないかと思って、
よく分からないけれど、自転車を電車に持ち込む光景を写真に撮っている」

すると、その男性の顔がゆるみ、
「いやあ、あなたは幸運ですね。
私は、地域の公共交通機関の利用者環境を改善するサービスを
提供している会社を経営している者です。
この自転車のサービスも弊社のもの。まあ、お座りください。ご説明しますよ」

本当にこのラッキーな出会いにびっくりしました。
リヨンまでの30分間、車中でこの社長のインタビューをさせてもらいました。

SNCF(フランスの旧国鉄)が取り組んでいる試みで、
マイ自転車移動の奨励に、自転車でのスムーズな公共交通機関利用を
促すために車内の一部を改造して、駐輪スペースを設けている。

他の都市からリヨン市内に訪れる人たちや、
もともと市内に住む人たちの足が車から自転車に切り替わりやすくなり、
車の使用量を減らすことで、市内の交通量減少に大いに役立っている。

このサービスを利用するには、毎月数ユーロで済み、
自転車大国のフランスで大成功。

社長ご自身の利用者カードも見せてもらい、許可を得て、
社長の自転車も撮影させてもらいました。
利用料を払い、利用者カードを取得すれば、自転車を電車に乗せられる。

このプロジェクト自体は、リヨン県がSNCFにお金を出して進めたもの。
この成功例を見て、パリでも同様のサービスが始まったばかり。

フランスでは、地方都市のエコ意識や運動の力が非常に大きく、
それらの後押しがあってこそ、SNCFなどのような大きな組織が
共に動き出すきっかけを得て、首都へと広がるケースがほとんど。

またひとつ、パリが必ずしもエコ先進都市とは限らない、
という分かりやすい例。

http://eco.nikkei.co.jp/column/eco_methode/article.aspx?id=MMECz5000002102008&page=1

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