2008年10月6日月曜日

学校の情報化(11)ゲーム通じ数学体感

(読売 10月1日)

ゲームを通して、数学の大切さを学ぶ授業がある。

「ゲーム制作と数学の意外な関係」。
そんなタイトルがついた授業は、塚越克己教諭(52)自身が、
ゲームに挑むところから始まった。
「ずいぶん練習したんだけどなあ」。生徒たちには大受けだ。

千葉県船橋市立湊中学校のコンピューター室で、
3年生の選択数学の研究授業。
ゲームに興じて見せるのは、授業のつかみに過ぎない。

ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、社会貢献の一環で協力し、
千葉大学の藤川大祐准教授が理事長を務めるNPO法人
「企業教育研究会」が進める授業の一つ。

ゲームのプログラミングに関数が使われていることを実体験することで、
数学が生活に大きなかかわりがあることを理解させようという趣向。

17人の生徒は、数式を入れ替えると、
ゲーム上のサルのキャラクターの動きが変わることを実感し、
個々のパソコンの画面に用意された升目に、サルがバナナを三つ以上取れる
直線や曲線を描き、その線が1次関数や2次関数のどんな数式になるかも考えた。

SCEのゲームプログラマーも、映像で登場。
小学校の時のゲームを巡る経験を語った上で、
「ゲームは、中学校で学んだ数学抜きには語れない」と強調。
最後に、3次関数や三角関数の数式を入力、キャラクターがまさに
ゲームらしい動きになることを見せて、授業は終わった。

教師用パソコンから配布されたアンケートで、多くの生徒が
「今後もこうした授業を受けたい」と回答。

企業教育研究会は、メディアとの基本的なつきあい方の能力を指す
メディアリテラシー教育の一環で、
SCEとの授業にも2年前から取り組んできた。
希望に応じて、年間15件から20件程度、学校に足を運んでいる。

SCEも、様々な教育プログラムを研究してきた。
調べ学習で学んだことをゲームで表現する、「ゲームのシナリオを作ろう!」
といった授業も、すでに実施。

船橋での研究授業後の研究会では、
数学や情報教育を担当する市内の教師が参加、
「生徒が線を描くと同時に、数式が表示されるようにできれば、
もっとわかりやすくなるのでは」といった提案も。

「塚越先生のように、新しいことになかなか挑戦できない」といった本音も。
情報教育で、市内の教員のまとめ役である塚越教諭自身、
「数学の授業で、外部の団体の支援をいただくのは初めての経験」。
企業と学校の関係は、まだまだ進んでいないことの裏返しとも言える。

今回のような授業の後、数学への興味をどうつないでいくかも課題。
数学は、世の中の役に立つということを生徒に実感してほしいというのは、
集まった教師たちの共通の願い。
「学校を卒業してから何の役に立つの?」と考える生徒が多い
教科とされるだけに、数学を扱う企業の側の積極的なかかわりが、
もっとあっていい。

◆「社会に出て役立つ」3分の2

今年度の全国学力・学習状況調査で、
「数学の授業で学習したことは、社会に出た時に役立つ」と答えた
中学3年生は、「どちらかと言えば」を含めて65.4%。
国語(79.5%)を大きく下回った。
「数学で学習したことを、普段の生活の中で活用できないか考える」
という生徒も3分の1に。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081001-OYT8T00293.htm

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