2008年10月5日日曜日

学校の情報化(10)1人1台 進度も様々

(読売 9月30日)

小型パソコンを1人1台配布した新たな実証実験が、小学校で始まった。

「休み時間もやってみたい人は?」
授業の終了時、情報教育担当の村田直江教諭(60)が問いかけると、
25人の児童のほぼ全員が手を挙げた。
挙げなかったのは、まだパソコンの操作に夢中になっていた数人だけ。

千葉県柏市立旭東小学校の5年1組で、
半導体メーカーのインテルと情報機器商社の内田洋行による実証実験。
同小の5年生2クラスと同市立手賀東小学校の4、5年生各1クラスで、
小学館の漢字の書き取りや算数の計算問題のソフトを使い、
学習効果や、学校での使い勝手について探る。

1組の児童には、タッチペンで画面に書き込むタブレット型パソコンが
初めて配布された。
その大きさを見て、「DS?」とニンテンドーの人気ゲーム機を
思い浮かべる児童も。

使い方を覚えるまでは、担任や両社の担当者、様子を見に来た
熊谷美利校長までが加わって面倒を見たが、
子供たちはやがて、ソフトを自在に使い始めた。
いずれは、テレビ会議の端末としても活用してみたい。

「私たちだと慣れるのに時間がかかるが、デジタル世代は
タッチペンの書き味も気にならないようです」と村田教諭。
情報教育指定校の同小で情報教育を担当して7年目で、
市の教育の情報化推進委員も務める立場。
情報機器によって、いかに効率よく学べるかはよくわかっている。

「漢字の書き取り一つにしても、先生に教わるのではなく、
自分で気づくのがいい。子供たちの進度は一人一人違うが、
その子なりの評価が出来、授業中に遅れている子を重点的に見て回れる。
みんなそろうまで待ちなさい、と言わなくていい」

1人1台にパソコンが渡ると、「<やっちゃだめ>の教育が出来なくなる」。
村田教諭は、情報機器が従来の教育観を変える存在と見る。
パソコンを家庭に持ち帰らせることまではしないが、
保存されたデータで、個々の進度やつまずき部分が分かるため、
宿題の中身も個人個人で変わることになる。

柏市内の学校では、小中61校全校で、校内のどこでも
インターネットが使えるLAN(情報通信網)回線が整備済み。
同小は、情報教育指定校になって約20年がたち、
普通教室でも無線LANが使える上、コンピューター教室自体も
普段から開放されている。
子供たちが自在に使えるパソコンを持てば、
ネットでの調べ学習での利用なども進む。

学校のLAN環境整備を待たず、ニンテンドーDSを
学習に使う動きも広がっている。
2006年ごろから、英語や算数、国語の学習ソフトが相次いで登場。
陰山英男・立命館小学校副校長や
藤原和博・前東京都杉並区立和田中学校校長らも取り入れた。

ここに来て、学校のネット環境の整備が進んでいる。
こうした整備によって、学校で使える小型パソコンの開発・活用も
はずみがつきそうだ。

◆DSの学習活用

文部科学省によるNPO法人パソコンキッズへの委託事業が
昨年度からスタート、今年度は全国の小中高校17校が
ニンテンドーDSを学習に使っている。
京都府八幡市のように、市立中4校すべてで英単語の学習に使う例も。
藤原和博氏が、府の特別顧問になった大阪でも活用の動きがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080930-OYT8T00234.htm

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