2008年10月8日水曜日

スポーツ21世紀:新しい波/278 ビデオ判定/1

(毎日 10月4日)

コートを取り囲むように、ボールの軌跡を監視する
10個の“タカの目”が光っていた。

女子テニス協会(WTA)ツアーの東レ・パンパシフィックオープンシングルス準決勝。
有明コロシアムのセンターコートで、選手が審判にビデオでの再判定を求める
「チャレンジ」を宣言した。

そのわずか7、8秒後。
会場の大型ビジョン2台に、ボールがライン際で弾む瞬間の
コンピューター映像がスローで再生。
ボールは、ほんの数センチサイドラインを割ったことが明白に。
判定は覆った。

時速200キロを超えるサーブを見極めるには、
試合のリプレー映像では難しい。
英国の「ホーク・アイ・イノベーション」社が開発した
「ホーク・アイ」と呼ばれる最新の自動ライン判定システムの存在。

同社技術リーダーのアレックス・バースさん(23)は、
「誤差は、最大でも3・5ミリほど」と自信をのぞかせた。

10台のカメラでボールを追跡。
スピード、角度などのデータを集積し、コートにボールがバウンドした場所を
正確に特定する。
WTAの審判の最終決定を受け、ボールの軌跡を分かりやすく映した
コンピューターグラフィックスで再生。
映像は、会場やテレビ画像にも同時に流され、ショーアップの効果もある。

テニス界の革命とも言えるビデオ判定が、
ツアー史上初めて導入されたのは06年3月、米国の大会。
選手が審判にボールのイン、アウトの再判定を要求できる
チャレンジ制度を新設。
チャレンジは現在、1セットに3回、タイブレークに追加の1回を認めると規定。
審判の判定が正しければ、権利は一つずつ減る。

国内ツアーでは今回の東レが初めてだったが、
4大大会では土に跡が残って判別しやすいクレーコートの
全仏オープンを除いて、既に導入。

WTAのツアー競技責任者の一人、ジュリア・オルランディさんは
「(ツアーランク上位の大会で)昨年は6大会、今年は14大会で
ビデオ判定を採用。来年は、さらに多くの大会で行う予定」と快活に笑った。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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