2008年10月5日日曜日

寂しい人は寒さを感じやすい?

(WebMD 9月16日)

社会的隔離は人に寒気を感じさせることを、
トロント大学の心理学者Chen-Bo ZhongとGeoffrey J. Leonardelliが発見。
人に疎外感を感じさせると、室温程度のぬるい飲食物より、
熱いスープやコーヒーを選ぶことも発見。

Leonardelli博士は、「社会的に排除されたとき、
人が熱いコーヒーやスープを好むということは特筆すべき。
温かいチキンスープが、社会的隔離の対処メカニズムである可能性を、
我々の研究は示唆している」

Zhong博士とLeonardelli博士は、大学生に2つの実験を実施。
学生65名を、2つのグループに分けた。
1番目のグループには、仲間外れにされたときのことを思い出させた。
2番目のグループには、仲間に加わっているときのことを思い出させた。
その途中で、わざとメンテナンスの担当者に、
室温が何度くらいか質問させた。

室温は、常に同じであった。
しかし、学生の推測は11.6℃から40℃まで幅があった。
寂しい感情を思い出した人は、社会的に支えられている感覚を
思いだした人より、推測した室温が低かった。

2つ目の実験では、52名の学生にコンピュータのボール投げゲームをさせた。
学生は、他の人とオンラインでプレイしているものと思っていたが、
ゲームには仕掛けがあった。

半分の学生には、数回ボールが回るようにした。
他の人には、30回以上ボールが回っていると思わせながら、
学生を仲間外れの状態にした。
もう半分の学生には、その他の「プレーヤー」と同じくらいの回数でボールが来た。

その後、学生たちの気をそらすため意味のないマーケティング調査を行い、
ホットコーヒー、ホットスープ、りんご、クラッカー、
よく冷えたコーラがどのくらい欲しいか質問。

もうおわかりだろう。
ゲームで疎外された学生は、仲間とプレイした学生より、
スープやコーヒーを欲した。

Zhong博士とLeonardelli博士は、私たちが心で感じること、体で感じること、
頭で考えることが、すべてつながっているということがポイントである。
寒いという感覚は、人の社会的排除の経験の一部。

社会的排除は、寒気や不快感を起こさせるだけではない。
寂しさは、不安やうつを誘発すると知られ、
身体的疼痛経験に関係する脳領域を活性化させる。

隠喩(メタファー)とは、「成功は、孤独と非情である」というように、
話法の一形態で、文字の上では違っていても、
一方でもう一方のことを述べること。
「隠喩は、単なるコミュニケーションのための言葉ではない。
隠喩は、人々が周囲の世界を理解し、経験するために欠かせない入れ物」

書籍『Chicken Soup for the Soul』シリーズを挙げ、
「温かいスープを食べることは、文字どおり社会的排除に対する
対処メカニズムなのではないか」と示唆。

『Psychological Science』9月号に発表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=80270

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