(朝日 2008年12月13日)
五輪招致はテレビマネー次第なのか。
ローザンヌで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、
そんな議論が持ちあがった。
16年夏季五輪に名乗りを上げている東京に、不利に働く恐れがあるだけに、
日本にとっても、気になる話。
きっかけは、キャリオン財務委員長の発言。
14年冬季、16年夏季五輪の米国向け放送権の契約が、
金融恐慌の余波で難航し、16年大会の開催都市をきめる
来年10月以降になりそうだと明かした。
「経済情勢は厳しく、テレビ局側から交渉を遅らせてほしいと要望がある」
ロゲ会長も呼応する。「景気回復を待てばいい。交渉する時間はたっぷりある」
これが、東京など4都市が争う招致に影をおとしかねない。
カギを握るのが、シカゴ(米)の当落。
米国開催になれば、夜のゴールデンタイムに生中継できる米国のテレビ局は、
CM料アップを見こんで巨額の投資をする価値がある。
リオデジャネイロ(ブラジル)なら時差は少ないが、
東京、マドリード(スペイン)だと条件は悪くなる。
本来、開催都市の選定と放送権交渉は何の関係もないが、
IOCの財源を潤してくれる米国のテレビ局の「威光」が、
シカゴの得票を後押ししないとは言い切れない。
10年バンクーバー(カナダ)冬季、12年ロンドン夏季の2大会の放送権料は、
総額38億ドル(約3534億円)。
米NBCは、約58%に上る22億100万ドル(約2055億円)を負担。
この2大会は、開催都市がきまる前に契約が成立していたが、
今回はその慣例が崩れそう。
14年冬季はソチ(ロシア)に決まり、うまみの少ない米国テレビ局にとって、
16年夏季は、時差の少ない開催都市にこしたことはない。
ロゲ会長は、「IOC委員の仲間は、財政的な理由ではなく、
スポーツの側面で開催都市を選ぶ」と正論を唱えたが、
05~08年期のIOCの最高位のスポンサー12社のうち、
4社が契約更新を見送るなど、五輪ブランドにも陰りが見える。
頼みの綱は、テレビマネー。
それは、開催都市を決める投票権を持つIOC委員の常識。
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200812130099.html
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