(読売 12月17日)
多様な遊びや学びを、地域が用意する学校がある。
カーペット敷きの多目的室「にじいろひろば」で、
何人かの男児がベーゴマに夢中だった。
その1人に、「あの子は去年、コマのひもがなかなか巻けず、
泣きながらがんばって、できるようになった。今の子も、やる時はやるね」と
講師の鈴木光太郎さん(79)が感心。
東京都小平市立第四小学校で、地域住民らが、放課後や週末に
様々な遊びや学びの場を用意する「放課後子ども教室」の一つ。
インターネットや卓球教室、焼き芋づくりなども行われた。
「にじいろ」のメニューは月替わりで、紙飛行機、折り紙、百人一首など、
昔ながらの遊びが楽しめる。
こういった場が年間200日近く開講し、
予定は、学校のホームページで逐次、紹介。
ウェブでの情報発信も、ネット教室の講師がかかわっており、充実。
四小は、今年度からは、学校運営に地域住民らが参画する
コミュニティスクールに正式に指定。昨年度から研究校だった。
運営方針を話し合う学校経営協議会(法律では学校運営協議会)の会長は、
「子ども教室」の実行委員長でもある民生児童委員の下村咲子さん(60)。
「子ども教室」がすでに5年目を迎えるなど、以前から、
地域が学校に積極的にかかわってきた伝統がある。
同小では、地域の人材を学校とつなぐ、協議会とは別組織の
「コーディネート部会」が、学習面でも大きな役割を果たすようになってきた。
教員の代表3人、各クラスの保護者と、地域代表が2人。
その1人が下村さん。
例えば、総合的学習の時間で取り組む、学校近くの玉川上水の学習には、
企画段階から地域住民らがかかわるようになっている。
「どんな学校にしたいという地域の願いを、はっきりと伝えられるのが、
コミュニティスクールの利点です」
6年生が、約1週間後の地元のまつりに出店するバザーの準備をしていた。
提供してもらう商品を受け取るために、
地元の店などを回り、商品の値付けもした。
このバザーも、地域の学習としてコーディネーターが間に入っている。
「地域全体で大事にしてもらっていることがよくわかる」と
6年の学年主任、山崎一樹教諭(29)。
放課後の子供たちが過ごす場となる「放課後子ども教室」は、
文部科学省が推進。
学校運営協議会を支える組織となりそうな学校支援地域本部事業も、
同省の事業として今年度から始まっている。
「地域が教育を支える点では、バラバラに取り組むのではなく、
全部ひっくるめて考える必要がある」と
小平市で四小のような仕組みの整備をしてきた前教育長の坂井康宣さん。
従来の学校教育と社会教育の枠を超えた地域教育という
考え方が広まろうとしている。
地域教育を広げるには、それを支える人材の発掘と、
学校との橋渡し役の育成が欠かせない。
◆地域教育
東京都では、学校教育と社会教育の枠を超えて、
両者をつなげる新しい教育活動ととらえ、その推進のため、
都教育委員会に今年度から地域教育支援部も作っている。
都生涯学習審議会は今月、地域教育の担い手育成のための方策や
行政の役割について答申をまとめた。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081217-OYT8T00224.htm
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