(朝日 2008年12月11日)
生きがいを感じて暮らしている男性は、精神的ストレスがあっても、
脳卒中で亡くなるリスクが大幅に低い。
秋田大が、県民を対象にした調査でこんな傾向が出た。
ストレスは、脳卒中などで亡くなるリスクを高めるといわれるが、
「生きがい効果」はそのリスクを上回るのかも知れない。
文部科学省がかかわる研究班調査の一環。
88年、秋田県大森町(現横手市)の40~74歳の住民を対象に、
健康状態をチェック。
同時に、「生きがいをもって生活しているか」、
「ストレスが多いと思うか」などと質問し、約1600人を03年まで追跡。
男女249人が亡くなった。
生きがいが「非常にある」、「ある」と答えた男性355人では、58人が死亡。
うち4人が脳卒中。
これに対し、「普通」、「はっきり言えない」と答えた男性477人、114人が死亡。
19人が脳卒中。
小泉恵医師(循環器内科)らが、年齢や血圧、喫煙歴などの影響を除いて
解析したところ、生きがいがある男性の死亡リスクは、
それ以外の男性より38%低かった。
脳卒中で亡くなるリスクは、72%も低い。
心臓病やがんによる死亡では差がなかった。
生きがいの有無とは別に、ストレスが多いと答えた人が2割ほどいたが、
ストレスの影響を考慮しても、死亡リスクを減らす効果があった。
生きがいの有無が、なぜ死亡率の差に影響するのか、
理由はわかっていない。
女性では、差がはっきりしなかった。
研究の中心だった本橋豊教授(公衆衛生学)は、
自殺率が全国でも高い秋田県で予防事業に携わっている。
「『生きがい』を通して、自殺を防ごうという取り組みは、
結果的に住民の健康水準全体を高めることにつながるかも知れない。
都市部でも、同じような傾向が出るか確かめたい」
http://www.asahi.com/science/update/1211/TKY200812110132.html
0 件のコメント:
コメントを投稿