2008年12月16日火曜日

地域が支える学校(10)祖父母の力授業に深み

(読売 12月13日)

祖父母の団体が授業を支援する学校がある。

京都府京丹波町の町立丹波ひかり小学校で、2年生の生活科の授業には、
保護者とともにかっぽう着やエプロン姿の年配女性3人が加わった。
同小に通う孫がいる祖父母らで作るGTAのメンバー

子供たちが畑で自ら育てた大豆を石臼ですりつぶし、きな粉にする。
「ゆっくり回しや」、「指挟まれないようにな」。
3人が子供たちにやさしく声をかけて一緒に石臼を回すと、
「きな粉のにおいがする」と子供たちから歓声が上がった。
2人の孫を通わせる田端康江さん(65)は、
「何十年も前に少しやったことがある程度だったが、交流が楽しい」と笑顔。
大豆を使ったみそ造りでも、GTAの力を借りることに。

GTAの誕生は、同小が2006年、地域住民らが学校運営に参画する
コミュニティスクールに指定されたのがきっかけ。
以前から年1回の祖父母参観はあったが、
祖父母の持つ知恵や技能を授業に生かせないかと考えた。

全児童を通じて手紙で協力を呼びかけると、
「紙細工ができる」、「昔のおもちゃなら作れる」と応じる人が出てきた。
祖父母参観では、百人一首やわらび餅作りなど6分野で先生役に。
「元気をもらえたし、先生の苦労も分かった。できる範囲で協力していきたい」。
参観後に出た意見が、同年10月のGTA発足につながった。

メンバーは現在23人。
裁縫や農作業などで教員の支援をしたり、戦争体験を話したり。
学校が呼びかけると、メンバー同士や得意な知り合いに声をかけて仲間を集める。
「教員も知らない、幅広い知識や技を持っている。体
験者から学ぶことで深みが出る」と担当の堀下みゆき教諭(47)。

2000年に2校の統合でできた同小は、敷地内に地域住民が利用できる
「地域交流センター」を設けるなど、地域への開放を意識して作られた。
住宅地とは離れた高台の上にある上、不審者対策もあって、
開放が思うように進んでいなかった。

指定をきっかけに、子供や孫がいない地域住民の団体約30人による
「みのり会」も誕生。
組織を作ることで、活動が単発ではなく、継続的になっている。
朝の本の読み聞かせ活動などもあり、校内には
祖父母や地域住民の姿が毎日見られる。
授業で知り合った子供たちから「今度はいつ来る?」と、
町の中で声をかけられる場面も。

「活動を通じて、『学校のために何かやってやろう』という気持ちが
住民の中に出てきたと感じる。
前と比べて、地域と学校のつながりは深まっている」。
学校運営の方針を話し合う学校運営協議会の山崎博会長(75)は
目を細める。
法貴雅男校長(55)も、「より学校を理解してもらえる。
地域に見られることで、学校側も緊張感が生まれる」。
開かれた学校作りが着実に歩みを進めている。

◆GTA

「G」はグランドファザー・グランドマザーを意味し、PTAにならって名付けた。
孫が通っていれば、誰でも自由に参加できる。
鳥取県南部町立会見小でも、同様の名称で、
祖父母の団体が児童の学習を支援。
同小では、入学時に希望を聞いて入会してもらう。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081213-OYT8T00213.htm

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