(読売 12月11日)
地域と協力する小中一貫教育が広がる。
児童生徒数約1780人、学級数53、教職員は嘱託を含めて約150人。
東京都三鷹市立にしみたか学園は、いまどき珍しい<大規模校>。
第二中学校、第二小学校、井口小学校で小中一貫教育を行うため、
2006年度からこの名前を名乗っている。
「これだけの規模で、3校が交流を図るとなると、
時間割調整が容易ではありません」と、
学園長でもある二中の大嶺せい子校長(59)。
3校による研究会は04年度から始まっていたが、
当初は互いの職員室に戻ると、「小学校は見た目を追い過ぎる」、
「中学校は相変わらずの詰め込みだ」と言い合っていた。
05年度に赴任した大嶺さんは、
「小学校と中学校の文化は違って当然。しかし……」と説得に努めた。
小中一貫教育の構想が浮上した際、地域からも反対の声が上がった。
「学校が統廃合されてしまう」という誤解も。
学園ができた翌年度、3校は地域住民らが学校運営に参画する
コミュニティスクールの指定を受けた。
学園では、学級担任制から教科担任制に変わるという
環境変化に対応するとともに、特に苦手意識が出やすい数学で
習熟度別授業に力を注ぐ。
中学校の基礎クラスの教室には、小学校の元担任らも入る。
小中のギャップを小さくするため、小学校2校の6年生は、
長野県の自然教室で、2校の児童混合の班を作り、3泊4日を過ごす。
事前に話し合いの場を持ち、イベントも開いている。
6年の2学期には、小中の教員が協力して、
選択制学習と呼ばれる時間を7時間設ける。
発展的な内容を中心に、15コースほどのメニューを用意。
11月に行われた公開授業でも、「世界の気候と日本の気候」、
「科学の世界を広げよう」といったタイトルで、5教科が披露。
小中学校の児童会と生徒会が、夏休みのボランティア活動や
地域での清掃活動について一緒に話し合う。
中学生は、小学校の夏休みのプールでのボランティアや、運動会での受付も。
「中学生になったらお兄さん、お姉さんとしての役割を果たすんだ」と
小学生に自覚させる効果も大きい。
地域も一貫教育を支える。
3校が一つの学園を名乗ることで、学校が小中の別なく、
保護者の協力を得やすくなった。
「中学校で、小学校の保護者に出くわすことも珍しくない」と
他校から赴任してきた教員を驚かす。
学校に協力する地域の「サポート隊」には、約370人が登録。
家庭科でミシンの指導をしてもらったり、同窓会を通して地域の古老に
戦時中の話をしてもらったり。
3校のマンパワーが発揮されるのはこういう時。
「大人の姿を見て、ボランティアに取り組む子供たちが増えてきた」と大嶺さん。
地域との関係が、これまで以上に深まることで
「学校がどうやったら地域の役に立てるかを考えている」。
地域が学校を支える例は多いが、逆の発想も必要かもしれない。
◆連携の背景に法改正
小中学校の連携教育や一貫教育を進める自治体が急増。
その背景には、改正教育基本法を受けて、学校教育法に
義務教育9年間の目標が具体的に規定された。
三鷹市では、小中一貫教育を全域に広げようとしており、
2009年秋には、市立小中学校22校すべてが
中学校区ごとに7学園でくくられる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081211-OYT8T00195.htm
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