2009年8月19日水曜日

支える:バンクーバー冬季五輪、あと半年/1 「よく滑る」スキー板

(毎日 8月18日)

今年2月、チェコで開かれたノルディックスキー世界選手権。
複合団体で、日本は14年ぶりに金メダルを獲得。
「ジャンプで稼ぎ、逃げ切る」という往年のパターンとは異なり、
後半の距離で逆転する新しい勝ち方。
選手たちが一様に挙げた勝因が、「スキーがすごく滑った」。
スキー板の滑走面に塗るワックス選びが的中。

ワックスは滑りを良くし、操作性を高める効果がある。
選手の足でスキーを「滑らせる」距離は、アルペンやジャンプ以上に
ワックスの重要度が高い。
カギは、雪との相性を良くすること。
専門スタッフが雪の温度、質、気象条件などを分析し、
雪温が高ければ軟らかいもの、低ければ硬いものといった具合に
最適なワックスを選ぶ。
板は、試合中に替えられないため、この選択が勝敗を左右。

ほとんどの欧州のスキー場は、雪の水分量が少ない。
今回の世界選手権の会場は、日本のスキー場に近い、湿った雪質。

日本チームが使ったワックスの中には、
日本国内で開発された国産のものがあり、
当然“日本タイプ”の雪との相性はいい。
これも、日本勢の快走を後押しした。

大会後、日本チームが使ったワックスの一つを製造した
スキーワックス製造販売会社「ガリウム」(仙台市)に、
海外から照会が相次いだ。
欧州ブランドが幅を利かせる業界で、
日本製品が脚光を浴びたのは初めて。
同社の営業担当、佐藤純一さん(45)は、
「日本の開発力を見せられた」と胸を張る。

同社は94年に設立。
元日本代表コーチだった佐藤さんの人脈を生かし、
日本代表チームと密接に協力して、国内外の大会でデータを収集。
日本の会社で初めて、本格的に高性能ワックスの開発に
取り組んできた。

ワックスには、基本のパラフィン系のほか、
油や水をよりよくはじくフッ素系もある。
製品化には、何万種類もの原料を混ぜてテストを繰り返す。
この配合こそ、メーカーの腕の見せどころ。

バンクーバー五輪に向けたワックス作りは進んでいる。
佐藤さんは、「見えないところから、選手たちを支えていきたい」
と熱っぽく語る。
国産ワックスが、94年リレハンメル大会以来となる
五輪金メダル獲得の力となれるか。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/08/18/20090818ddm035050016000c.html

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