(読売 8月8日)
子どもを主体にした博物館が工夫を凝らす。
ボールがころころ転がって、カエル池にポッチャーン。
そばにある水の入ったコップを棒で順にたたくと、
童謡「かえるのうた」のメロディーが響く。
沖縄県沖縄市、「沖縄こどもの国」内にある
「ワンダーミュージアム」
常設展示もあるが、大きな特徴は、
館内の作業場・インハウス工房で作られた作品が、
触って遊べる展示物となり、ほぼ1年周期で変わっていくこと。
工房で作業するクリエイターや学生が、
制作過程を時々子どもたちに見せ、「こんなの好き」、「面白い」
という声を参考に取り入れる、全国的にも珍しい試み。
「子ども心を反映させれば、振り返ってくれるんです」、沖縄こどもの国を
運営する、沖縄こども未来ゾーン運営財団の鉢嶺渚さん(31)。
インハウス工房の扉が開き、小学生らが土遊びをする
ワークショップが行われた。
小学2年の長男厚公君(7)の母親の高良ともえさん(34)(浦添市)は、
「子どもの時、遠足と言えばここでした。今でもわくわくします。
元気のない時期もあったのに、復活が見事です」
子どもたちが集う場所として、ここは、
沖縄の人たちが特別な思いを抱く場所でも。
沖縄こどもの国は、1972年の沖縄県の本土復帰時、
「青少年に夢を与える施設を」との願いを込め、
県内初の動物園として開園。
数少ない子ども向け施設として、長らく親しまれた。
遊園地も併設された90年、年間有料入場者数が50万人近くに達したが、
施設の老朽化や他の娯楽施設登場の影響で、
入場者数が20万人を割り込み、2001年3月から約1年間休園。
ワンダーミュージアムは、営業再開後の04年、
ボランティア拠点施設と共に新たに開設。
常設展示でも、動くものがゆがんで見える装置があったり、
自分の動きが何重にも重ね合わせられてスクリーン上に映し出されたり、
と好奇心をくすぐる工夫が各所になされている。
尾比久功・沖縄こどもの国副施設長(50)は、
「科学技術や、沖縄ならではの環境、平和、共生をテーマに掲げ、
体験学習でき、人材育成もできる場所に刷新した」
昨年度の有料入場者数は、こどもの国全体で前年度より
8万人増えて、約37万人。
うちワンダーミュージアムが約15万人と、まずまずの人気。
同ミュージアムに建設段階からかかわった
九州大学の目黒実特任教授(63)は、
「子どもの創造力や感性を高める工夫を凝らしている」
「霊山こどもの村 遊びと学びのミュージアム」(福島県伊達市)、
中学校の廃校跡を利用した「篠山チルドレンズミュージアム」
(兵庫県篠山市)なども手がけた目黒教授。
「いずれは、子どもたち自身が運営するようにできないか」と考えている。
◆沖縄こどもの国
サイエンスプログラム「マグネット展」など。
◆篠山チルドレンズミュージアム
ワークショップ「myバッグを持ってかえっこバザールへ行こう!」など。
◆霊山こどもの村
夏の企画展「へんしん」など。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090808-OYT8T00293.htm
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