2009年11月24日火曜日

総合学科高校(5)就職組も基礎学力磨く

(読売 11月17日)

基礎学力の習得に、力を入れる学校が出てきた。

世界遺産「熊野古道」が通る三重県熊野市。
県立木本高校を訪れると、2年生の教室で現代文の授業。
基礎学力の定着のため、同校では6年前から、
国語、数学、英語の3教科を、すべての生徒が必ず履修。

もともとは地域の伝統校。
1994年、普通科に加えて総合学科を新設し、全国で初めて
総合学科を導入した七つの学校の一つ。
選択科目が多い2、3年では、かなり自由度の高い選択を認めた。
「本当に自由に生徒が科目を選べた」と、榎本和能校長(56)。

進学する生徒が多い中、数学や英語などを選択しない生徒が、
総合学科の導入当初から、ごく少数とはいえいた。
就職するから必要ないといった理由。
「教師の間で『これでいいのか』と、徐々に心配が広がっていった」、
当時を知る進路指導主事の山口菊夫教諭(48)。

就職試験に落ちる生徒に、英語などを取っていない者がいた。
総合学科導入から6年後、卒業生の追跡調査をし、
「もっと勉強をしておけばよかった」と考える者がいる。
3教科の必修化は、こうした懸念材料が積み重なった末のこと。

数学と英語では、同じ教科でも生徒の進路に応じて難易度を分け、
使う教科書も変える。
大学を受験しない生徒でも、基礎は身に着けてほしい。
事務職の就職を希望する3年の橋本はるかさん(18)は、
「就職試験でも、3教科は出てくるので勉強は必要」

「就職してから、大学などに入り直すこともある。
そんな時に基礎学力がないと困る。
生きていくためには基礎学力は必要で、
それを教えるのは学校の責任」と榎本校長。

高知県立高知東高校でも、2003年度から全学年で3教科を必修。
同じように、基礎学力を向上させるのが狙い。

学んでおかなければ、将来困る可能性があるのはわかっても、
苦手なままだと意欲はわかない。
生徒が授業を理解できるよう、学校側も骨を折る。
3教科とも習熟度別に分け、20~30人程度の少人数で学ぶ。

同校でも、最初は自由な選択を認めていた。
基礎学力を身に着ける科目を選ぶよう、
個別指導などで促すには限界。

教務主任の小島圭介教諭(46)は、
「進学でも就職でも、基礎学力がないと社会は受け入れてくれない。
基礎の上に、特技を伸ばすようにしないといけない。
難しい勉強でも取り組む習慣がつけば、困難なことに当たっても、
その経験を生かせる」

高校で学ぶ基礎学力は、生徒の将来の基礎へとつながっていく。

◆基礎学力の定着

総合学科の高校で、最も多く指摘されている学習指導面の課題。
近畿地区総合学科高等学校長協会が2007年、
全国の協会加盟の校長を対象にした調査で
学習指導面の課題を聞いたところ、
最多は、38%の学校が挙げた「基礎学力の定着」(複数回答)。
「家庭学習をしないこと」(24%)、「学習意欲の低下」(17%)が続いた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091117-OYT8T00289.htm

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