(読売 11月12日)
総合学科で学ぶ工業は、専門学科で学ぶ工業とどう違うか?
「値段は3000円を切りたい」、
「いや、それは厳しいよ」
東京都立葛飾総合高校の生徒5人が、
地元企業の「カナック企画」の社員と社内で議論。
地域と連携して、ものづくりの楽しさを学ぶ同校の選択授業
「地域とものづくり」。
4人は女子生徒で、同社と一緒にオリジナルのUSBメモリーを企画。
デザインは、女子生徒が考案したピアノの鍵盤模様のものを採用、
この日は、価格や売り出し方などを話し合った。
「高校に来てから、宝石のデザインに興味を持った。
その専門学校に進むつもり」と渡辺悠里さん(17)。
同校は2年前、普通科と工業科が統合して開校。
工業は、総合学科の六つの分野の一つに変わった。
「工業高校の時代と比べ、授業の時間は短く、深くもできない」と、
前身の工業高校から勤める石塚正紀教諭(38)。
総合学科は、1年でほとんどが必修科目のため、
工業を学べるのは2、3年。
3年間で専門性を磨く工業高校とは大きく異なる。
「確かに専門性は薄れるが、総合学科は、専門学科とは別の学科。
発想を変えた」と、国分達夫校長(55)。
開校前、中学生約2000人にアンケートを取り、
工業系は人気がなく、生徒集めに苦労することが見込まれた。
中小企業が多い土地柄。
区や企業、商工会議所などを訪ねた結果、新たに設けたのが
「地域とものづくり」や「デザイン」などの科目。
工作機械を使う仕事が減っていること、デザインは
就職に生かせるとの意見。
授業自体では、生徒に考えさせる内容を多くするようにした。
工業高校での実習は4時間、今は2時間と短い。
加工作業をするにしても、どんな用具を使うかなど自分で考えさせる。
「ものづくりの楽しさを知ってもらい、大学などで深めてもらう。
その動機付けをすることが役割」
国分校長は、総合学科で教える工業をそう考えている。
総合学科では専門性を高められないため、
学科として独立させる学校も。
大分県立日出暘谷高校では2013年度、総合学科の系列から、
工業の授業を、単独の「工業科」として独立させる予定。
「2年から学ぶのでは、どうしても駆け足に。
余裕を持って、3年かけて学ぶのがふさわしい姿」と、
工業系の授業を担当する安東健次教諭(50)。
町内に工業高校はなく、近くに大きな工場があることも理由。
発想を変えて新たな役割を目指すか、専門性を高めていくか。
各地で事情を踏まえつつ、ふさわしいあり方を確立しようとしている。
◆専門学科
工業や農業、商業などの専門教育を主に行う学科。
文部科学省の学校基本調査によると、主な専門学科の生徒数の
割合(本科)は工業科が8%、商業科が6.7%、農業科が2.6%。
普通科は72.3%、総合学科が5%。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091112-OYT8T00263.htm
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