2009年11月27日金曜日

インタビュー・環境戦略を語る:マイクロソフト・樋口泰行社長

(毎日 11月16日)

パソコン向け基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」シリーズを
手がけるマイクロソフト(MS)。
今年3月、事業活動に伴うCO2排出量を、
12年までに07年比30%以上削減する目標を設定。
企業や個人ユーザーを巻き込んだ取り組みを進めている。
同社の環境戦略を、MS日本法人の樋口泰行社長に聞いた。

--環境負荷低減にどのように取り組んでいるか?

◆情報社会の発展に伴う電力消費の増大への対処が
今、大きな課題。
ハードもソフトも、情報を処理する機器はすべて電気で動く。
MSは、サーバー(高性能コンピューター)やパソコン製品の
省電力化につながる技術開発をはじめ、IT業界の範となる
環境対策を積極的に進めなければ。
工夫の余地はたくさんある。

--具体的には?

最新のサーバー向け製品、「ウィンドウズサーバー2008」に、
消費電力を制御する機能を組み込み、
消費電力を常に最適に保てる。
サーバーには、24時間稼働しているものもあれば、
稼働や待機を繰り返すものも。
これを、「仮想化」と呼ばれる技術で統合、
電力を稼働中のサーバーに集中的に割り付ける。
処理能力を高めつつ、全体の消費電力も抑制できる。
(サーバーを多数配備する)データセンターは、
税金や電気代の安さや地震など災害の少なさを基準に設置、
これからは太陽光・風力発電所の近くに置いて、
クリーンエネルギーで運営すれば、より改善の余地がある。

--パソコン用新OS「ウィンドウズ7(セブン)」の環境性能は?

セブンは、パソコンの稼働状況を検知し、
最小限の消費電力に抑える機能を搭載、
前作「ビスタ(SP1)」より消費電力を10%削減。
「人感センサー」を用いれば、パソコンの前にしばらく人がいないと、
自動で休眠状態に。
パッケージ版の包装を、従来のプラスチックから紙に変えた。

--今後の取り組みの方針は?

◆電子メールやウェブ会議など、コミュニケーションツールを提供、
出張や移動で生じるコストとCO2の削減を支援。
法人契約をいただいたパートナー企業へソフトを提供する際、
100万枚以上に上るCDやDVDを配送してきたのを、
インターネットからダウンロードする方式に。
これで、2800本のスギが年間に吸収するCO2の量に
相当する40トン分を削減。
パートナー企業と連携した環境負荷軽減の取り組みをさらに推進。
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◇ひぐち・やすゆき

大阪大卒、80年松下電器産業入社。
日本ヒューレット・パッカード社長、ダイエー社長などを経て、
07年マイクロソフト入社。
08年4月から現職。兵庫県出身。51歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/11/16/20091116ddm008020025000c.html

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