2009年11月28日土曜日

M細胞によるglycoprotein 2を介したFimH+細菌の取り込みにより粘膜免疫応答が始動する

(2009年11月12日 Nature)

M細胞によるglycoprotein 2を介したFimH+細菌の
取り込みにより、粘膜免疫応答が始動する。

粘膜免疫系は、免疫系全体で最も大きな部分を占め、
全リンパ球のおよそ4分の3を含み、病原体から粘膜表面を
防御するため、毎日数グラムの分泌型IgAを産生する。

粘膜免疫応答の誘導には、粘膜表面の抗原は
上皮障壁を越えてパイエル板のような組織だったリンパ構造に
輸送されなければならない。

抗原トランスサイトーシスとよばれるこの作用は、
特殊化した上皮M細胞によって媒介される。
しかし、この抗原の取り込みを推進する分子機構は、
ほとんど知られていなかった。

今回、腸管上皮細胞のうち、M細胞の管腔側細胞膜表面に
特異的に発現しているglycoprotein 2(GP2)が、
粘膜抗原のトランスサイトーシス受容体として働くことを報告。

組み換えGP2タンパク質は、大腸菌(Escherichia coli)や
ネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)
といった腸内の共生細菌や病原性細菌の一部と、
細菌の外膜の構成成分である1型線毛の認識によって
選択的に結合。

これらの細菌は、M細胞の管腔側細胞膜表面上や
細胞質小胞内において、内在性GP2と共局在を示した。
細菌のFimH、宿主のGP2の欠損により、
1型線毛をもつ細菌のM細胞を介したトランスサイトーシスに
欠陥が生じ、その結果、パイエル板における
抗原特異的免疫応答が減弱。

これらの結果は、GP2が、これまで知られていなかった、
1型線毛を有する細菌に対するM細胞上の
トランスサイトーシス受容体であり、
このような細菌に対する粘膜免疫応答に必要不可欠。

M細胞は、さまざまな感染症に対する経口ワクチンの
標的細胞として有望であると考えられ、
GP2依存的トランスサイトーシス経路は、
粘膜ワクチン開発の新たな標的となるだろう。

[原文]
Uptake through glycoprotein 2 of FimH+ bacteria by M cells initiates mucosal immune response

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/11/12/111329/

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