(毎日 11月16日)
地球温暖化による被害と対策の費用対効果を分析した報告書
「スターン・レビュー」で、各国の政策に影響を与えた
元英政府特別顧問、ニコラス・スターン卿(63)。
各国は、ポスト京都議定書の枠組みについて、
国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を
合意期限と約束。
スターン卿は、各国の指導者が約束を守り、温暖化防止に
新しい一歩を踏み出すよう訴えた。
旭硝子財団「ブループラネット賞」受賞。
--COP15の成功とは何か?
◆50年までに、全世界で90年比50%減、
先進国は同80%以上減、という温室効果ガスの
削減目標に合意すること。
20年までに途上国対策で、1000億ドル以上の資金供与も必要。
先進国は、日本と同じ目標「20年までに90年比25%減」を
掲げてほしい。
数値目標で基本合意がなければ、交渉進展の機運は失われ、
国家間の信頼回復に長い時間がかかる。
各国の指導者が集まり決定すべき時。
--米国は京都議定書に合意後、離脱。歴史は繰り返されるか?
◆可能性はあるが、当時とは状況が大きく変化。
オバマ大統領らの指導力に加え、民主党は上下両院で多数党。
COP15後、温暖化対策法案も可決する。
--世界一の排出国になった中国の役割や義務は?
◆中国は、気候変動行動計画を実行に移しつつあり、
低炭素技術で世界のリーダーになろうとしている。
経済回復戦略でグリーン技術に注目、巨額の投資も。
1人当たり排出量は少ない。
先進国のような拘束力のある数値目標を求めるのではなく、
「20年までに(数値目標を)設定すべきだ」などが妥当な着地点。
--経済界には、鳩山政権の25%減達成は「無理だ」との声。
◆ハイブリッド車や断熱素材開発など、削減余地は生み出せる。
排出量取引の活用も可能で、25%は無理ではない。
先頭を歩み続けることで、日本は技術分野の
世界のリーダーたる地位を不動にできる。
高い目標に向かって行動する者ほど、世界経済で優位に立てる。
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◇スターン・レビュー
経済学者のスターン卿が、英財務省の依頼でまとめ、06年発表。
表題は、「気候変動の経済学」。
「温暖化対策を怠れば将来、世界の国内総生産(GDP)は
平均5~10%失われ、対策をとればコストはGDPの1%で済む」
「対応の遅れは高くつく。
今後10~20年間の対策が弱ければ、目標は手が届かなくなる」、
国際社会が一致し早く行動を起こすよう求めた。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/11/16/20091116ddm016040017000c.html
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