2009年11月25日水曜日

温暖化の影響アジアの沿岸都市で深刻

(サイエンスポータル 2009年11月13日)

世界自然保護基金(WWF)が、
アジア太平洋経済協力会議(APEC)にあわせて報告書
「アジアの巨大都市を襲う気候変動」を公表。

報告書は、アジアの沿岸地域や河川のデルタ地帯に位置する
11の大都市を取り上げ、気候変動による影響の大きさを示す。
各国の指導者たちに、危機感を持ってもらう狙い、
各都市の気候変動に対する脆弱性を、
10段階でランク付けしているのが目を引く。

最も弱いとされたのは、バングラデシュのダッカで、レベル9。
洪水や渇水による直接の環境被害に加え、
社会資本の貧弱さによる社会経済的な被害、
適応能力のいずれも最低、最低ランクに近いと評価。

次に脆弱な都市(レベル8)は、インドネシア・ジャカルタと
フィリピン・マニラ。
ジャカルタは、暴風雨、海面上昇、洪水や渇水による環境被害と
適応能力の不足は、いずれもダッカよりややまし。
人口過密による社会経済的被害が、最低ランクの10。
マニラは、社会経済的被害こそジャカルタ、ダッカより小さいが、
暴風雨と洪水・渇水の被害がいずれも最悪の10。

レベル7が、インド・コルカタとカンボジア・プノンペン。
6が、ベトナム・ホーチミンと中国・上海、5がタイ・バンコク、
4が香港、マレーシア・クアラルンプール、シンガポールの順。

気候変動による影響が、沿岸部に集中している人口過密な
大都市で深刻になるという予測は初めてではないが、
WWFの報告書は貧しいために適応能力を欠く国が多い
アジア地域の大都市が、特に脆弱であることにあらためて警告。

気候変動による環境影響として、報告書が重視した
暴風雨、海面上昇、洪水や渇水について、
日本の大都市もひとごとではない。
文部科学省、気象庁、環境省が合同で公表した報告書
「日本の気候変動とその影響」は、
全世界で追加的な温暖化対策を講じない場合、
日本は世界平均を上回る気温上昇が予測、その被害額が
今世紀末に年間約17兆円に上るという予測。
年間17兆円という被害額のほとんどは、河川の洪水と高潮による被害。

APECで、気候変動対策がどの程度、具体的に話し合われるか
分からないが、日本を含めアジア共通の最優先課題であることは明白。

http://scienceportal.jp/news/review/0911/0911131.html

0 件のコメント: