2010年2月2日火曜日

インタビュー・環境戦略を語る:森ビル・森稔社長

(毎日 1月25日)

東京・六本木や表参道などの再開発を手がけ、
近年は中国・上海に超高層ビルも建設した森ビル。
「ヒルズ族」の流行語に象徴される派手なデベロッパーの
イメージもあるが、森稔社長の街づくりの原点は、
「生まれ育った古都の自然と歴史遺産」。

「空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを」をコンセプトにした
都市再生への取り組みを聞いた。

--理想の都市像として、「ヴァーティカル・ガーデン・シティ
(垂直の庭園都市)」を提唱。

◆緑に覆われ、環境に優しいコンパクトな都市。
職、住、遊、商、学、文化などの都市機能を集積し、超高層化。
細分化された土地をまとめあげ、容積率を高めることで、
建ぺい率を抑える。

緑化できる土地が増え、職住近接にもつながり、
豊かな生活空間と時間が生まれる。

--これまでの成果は?

◆都内で手がけた主要プロジェクトのうち、01年完成の
「愛宕グリーンヒルズ」は、全敷地面積に緑が占める割合
(緑被率)が44・4%。
植え込んだ木々は成長するので、アークヒルズでは
90年に23・3%だった緑被率が、06年には37・5%に上昇。

地域にふさわしい生物多様性を守り、四季を感じられるように
することが大切と考え、常緑樹だけでなく、落葉樹を植える配慮。
六本木ヒルズの屋上庭園には、カエルやメダカが生息。

--各種施設が一極集中することで、
かえってエネルギー消費が増加しないか?

むしろ、エネルギー効率は向上。
六本木ヒルズでは商業棟、住居棟などに送る電気や
冷暖房用のガスタービン設備が1カ所に集約。

各棟が個別に設備を運用した場合に比べ、CO2を18%削減。
配電ロスも少なく、中低層の建物が分散した市街地より、
空調などに必要なエネルギーを減らせる。

--環境重視の街づくりを進めるため、今後、
どのような手を打っていくか?

◆グローバル化が進む中、国家ではなく、都市が競争する
時代を迎えている。
東京が勝ち残るには、緑による再生が不可欠で、
世界にアピールできる大きな魅力。

森ビルの将来像を描き出す経営企画室を、昨年12月に新設。
私も、社長業が長い。
後継者を育て、私は会長になりたいと思っている。
早ければ来年でもいい。
世界に「垂直の庭園都市」を広めたい。
社業としてだけでなく、地球環境に貢献できれば。
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◇もり・みのる

東大教育学部卒、59年森ビル設立と同時に取締役。
常務、専務などを経て93年1月から現職。京都府出身。75歳。
著書に「ヒルズ 挑戦する都市」(朝日新聞出版)

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/01/25/20100125ddm008020004000c.html

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