2010年2月3日水曜日

和文化を知る(3)書道で養う静かな心

(読売 1月21日)

心の教育を目的に、新たな教科を設ける学校がある。

32人の小1の児童が、2列に並んで書道室へと向かう。
着席すると、日直の合図に合わせて、
「お願いしまーす」と元気な声が弾んだ。

国語の書写で毛筆を学ぶのは、学習指導要領では3年から。
静岡県伊東市の同市立南小学校では、2006年度から
「書道科」を設け、年間34~35時間、
1、2年生に書道を教えている。

同市が「書道教育特区」に認定され、
市の研究開発校になったのが始まり。
今年度から、教育課程特例校として続けている。

重きを置くのは、字の上達でなく、書道の作法を通じて、
伝統文化への関心や落ち着いて物事に取り組む姿勢、
思いやりの心を育むこと。

「基礎や書道に対する態度を正しく学ぶには、
専門家の力が不可欠」として、授業には毎回、市の委託を受けた
日本書道芸術専門学校の講師が加わる。
児童が書くことに専念できるよう、準備や後片づけも講師がする。

この日、挑戦したのは、漢数字の「八」。
「2画目が滝の流れに似ていると思う」、
「両方を見ると、人の首筋みたいです」

国語との関連性を意識し、漢字への関心が高まるよう、
筆を持つ前に、字のかたちから連想するものを児童に答えさせ、
その上で字の由来を説明。

腕全体を筆に見立てて、1画ずつ筆の運び方を練習。
書く直前、黙想して心を落ち着かせる。
つけ過ぎた墨は、すずりの縁で払うよう教えており、
墨で半紙をひどく汚す児童はいない。

書き上げるたび、隣の席の児童とお互いの書の良い点を
たたえ合うが、それ以外は私語を交わすことなく、最後まで集中。

「来校者から、『しっとりとして落ち着きがある』と評される。
他の授業でも、1年生の態度に問題はない」と道下幸夫校長(54)。

その教育効果を見て、市内の他の小学校や、同県長泉町、
裾野市などにも、低学年の書道教育は拡大。
課題は、講師任せにしないこと。
1時間ごとの狙いを明確にした学習計画を作り、
担任と講師が役割分担をして指導するよう努めている。

思いやりの心の育成や規範意識の確立を狙いに、
福岡県八女市は、教育課程特例校制度を利用し、
今年度から、「礼節・ことば科」を小中一貫教育校の
上陽北ぜい学園に設けた。
小学1、2年は年間20時間、3年以上は40時間をあてる。

あいさつと礼儀作法の「礼節」、敬語の使い方が中心の「ことば」、
「実技体験」の三つで構成。
実技は、地域で盛んな剣道と茶道を採用。
男女とも小学3、4年は茶道、5、6年は剣道を、
中学生は茶道と剣道の両方を学ぶ。

同校小学部の枦山俊朗校長(56)は、「男子も女子も、
実技を楽しみにしている。目上に対する言葉遣いが良くなった」
新教科が導いて、子どもたちは少し大人の顔になる。

◆小中一貫教育校

小中9年間を一体的にとらえ、連続性を持たせて行う教育のこと。
従来の6・3制を、4・3・2制に組み替えているところも。
正式な制度ではないが、教育課程特例校制度などを活用し、
公立校の一貫化を推進する自治体が増えている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100121-OYT8T00289.htm

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