2010年2月3日水曜日

廃瓦 砕いて緑化土壌に

(読売 1月25日)

家屋の解体時や屋根のふき替えなどの際に出る廃瓦
粘土を窯で焼いたものが主流だが、これが植物の生育を促す
土壌に活用できることが最近わかってきた。

京都市伏見区の瓦リサイクル会社「國陽」。
敷地内に積み上げられた廃瓦がショベルカーですくい上げられ、
次々に破砕機で砕かれる。
砕いてはふるう工程を繰り返すと、廃瓦は0・5~5mmの粒状に。
「植物と相性がいい、と気付いたのは偶然だったんです」と
社長の新井貴史さん(58)。

産業廃棄物処理業を営んでいた2004年、
次々と持ち込まれる廃瓦を見て、再利用を考えた。
「千年たっても風化しない瓦を、埋め立てに使うだけではもったいない。
再利用すれば、産廃を減らすことにもなる」

砕いて土に変える実験を重ねていた05年、
その土を置いていた一角に生えた雑草を何気なく引き抜くと、
根が30cmにも伸びていた。

これはと思い、京都大工学部の米田稔教授(都市環境工学)
分析を依頼して確証を得た。
「瓦そのものに、ミクロン単位のすき間が多く、
砕いてできた粒子の間にも、ミリ単位のすき間ができる。
この二重のすき間が、水や養分を適度に保ち、
踏んでも固まらない性質を生む」と米田教授。

緑化土壌として製品化し、昨年は約5000トンを生産。
公園や道路の植樹帯などに使われた。
今年は、約8000トンの生産を予定、一般小売りも力を入れる。

搬入先の一つに、京都府立植物園がある。
桜の名所で、ソメイヨシノや枝垂れ桜約200本があるが、
花見客に土を踏み固められて、樹勢が衰えていた。
廃瓦の土壌を導入した担当の小倉研二さん(48)は、
「土が沈まなくなった。
3~5年後に桜にも効果が出てくれれば」と期待。

國陽へは大阪、京都、滋賀の3府県から
廃瓦が持ち込まれる。
新井さんは、「風雪から寺院や家屋を守ってきた瓦で、
植物を元気にしたい」

◆瓦のリサイクル

廃瓦は、舗装材やコンクリート骨材にも再利用、
「詳しいデータはない」(業者)。
全国の瓦の65%を生産する愛知県では、
県陶器瓦工業組合が不良品を粉にして、瓦の原料粘土に混ぜ、
月6000トンを「再利用」、
「廃瓦までは手が回らず、今後の課題」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/saizensen/20100125-OYT8T00716.htm

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