(読売 1月23日)
相撲や剣道に全校で取り組み、慈しむ心と礼節を育む。
校庭の隅に設けられた土俵で、素足の小学1年生が
男女に分かれ、順番に相撲を取る。
「がんばれ、がんばれ」。
みんなが夢中で声援を送る。
東京都武蔵村山市の市立第十小学校は、
体育の授業の一環として、子どもたちに相撲を教えている。
相撲を導入したのは、2007年度から。
きっかけは、都の「伝統・文化理解教育」の推進モデル地域に、
学区が指定されたこと。
同小の学級担任として相撲を教えた経験がある
榊尚信校長(55)が、安全で礼儀を学べるスポーツとして、
相撲を授業研究のテーマに提案。
初年度は、大相撲見学などを実施。
2年目から、少年相撲道場の立川練成館などの協力のもと、
全学年の体育の授業に、年間3時間の相撲を取り入れた。
勝ってもガッツポーズはせず、負けて泣いても
相手への礼は忘れない。
勝敗に関係なく、「がんばった、がんばった」と言って肩をたたき、
健闘をたたえる――。
榊校長は、「今の子どもは、遊びの中で友だちの体に
触れることがない。相撲を通じて人の温かみや重みを体で感じ、
相手を慈しむ心が育っている」
08年、土俵が完成。
昨年4月には、校内に相撲クラブが誕生。
「もっと強くなりたい」と、少年道場に通い出した児童も。
ゲーム世代をもひきつける力が、相撲にはあるようだ。
体育館を埋めた約800人の生徒が、
女子の居合道の演技を静かに見つめる。
男子の剣道の試合は、一転、声援合戦になった。
全学年で武道を必修とする神奈川県相模原市の県立橋本高校で、
昨年12月半ば、全生徒が参加して、
恒例の武道大会が3日間にわたり行われた。
男子の剣道は、1978年の開校当時から。
女子の居合道は、91年に文部省(当時)の武道指導推進校に
なったのを機に始めた。
「伝統文化や礼儀作法、節度ある態度、集中力など多くを学べる」
として、現在は週1回、体育で教えている。
生徒の本気度は高く、例年、100人以上が段・級を取得する。
武道大会も、良い刺激に。
開催前の3日間は、自主参加の朝げいこを実施。
今回は連日、約180人が参加。
「大会の日は、学校が一つになる。
その盛り上がりを見て、大会後に急に熱心になる1年生が多い」と、
八木興造校長(54)。
学校説明会で居合を見て感激し、入学してくる女子も。
保護者もまた、武道教育を承知の上で子どもを入れている。
大会の応援にかけつけたPTA役員の男性は、
「武道のおかげで、姿勢が良く礼儀正しい子が多い」
「髪を染めた生徒も、自分なりに礼を守って
武道の授業に取り組んでいる」と八木校長。
武道の心に触れ、規範意識が磨かれていく。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100123-OYT8T00266.htm
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