(日経 2010-01-27)
トラック用燃料などに使う、軽油の相場が上向かない。
景気低迷で物流量が落ち込み、需要が振るわないため。
消費者や企業にとって、物流コストの引き下げ効果が
期待できるが、軽油を供給する側の元売り各社は、
原油精製にかかるコストを回収できない状況。
このまま、アジア市場の暖房需要が期待できる
寒波のピークを超せば、ガソリン、灯油に比べた
軽油の独歩安が定着する公算が徐々に強まっている。
「軽油需要が上向くイメージが浮かばない」——。
都内のある燃料商社の幹部は、半ばあきらめ顔。
2009年11月の軽油の国内販売量は、約271万kL。
前年同月を3.3%下回った。
軽油はこの1年間、ガソリンや灯油と違って
特需に沸くことがなかった。
ガソリンの場合、09年3月下旬から始まった「1000円高速」が
需要を下支えした。
同年9月、秋の大型連休「シルバーウイーク」が重なり、
この時期に販売量を伸ばした給油所も多かった。
灯油は、09年12月中旬から予想外の寒波に襲われ、
販売量が全国的に増加。
需給は一気に引き締まった。
軽油の需要を左右するのは、国内の景気動向。
この1年間、物流量の増加に結びつくほど景気は回復せず、
軽油の内需は低空飛行。
リーマン・ショック後、08~09年の13カ月間で、
軽油の国内需要が前年同月を上回ったのは、わずかに3回。
販売の現場では、「ずっと前年同月を
下回り続けているような感覚」(燃料商社)。
新日本石油など元売り各社は、減産強化による需給の適正化に
懸命だが、「需要の落ち込みが減産分を上回っている」(商社)。
需給を敏感に反映するスポット(業者間転売)市場では、
軽油の上値が重い。
足元では、灯油を1L当たり2~3円程度下回る50円前後で取引。
原油精製コストが回収できない低水準だが、
「製油所の稼働維持のため、これ以上の減産は難しい」(燃料商社)。
打てる手が限られるなか、国内相場が上向くという
シナリオとして、元売りが期待するのが、アジアの石油取引の
中心地であるシンガポール。
軽油は、国内外の市場の価格の連動性が高いだけに、
シンガポールの相場が上昇すれば、元売りの輸出採算が改善し、
輸出が国内の需給調整弁の役割を果たすとの構図を描く。
頼みのシンガポールも、各国の輸出拡大で軽油在庫が
すでに過去最高水準に積み上がり、その解消が遅れている。
東アジアの寒波で、軽油需要が増えるとの観測もあったが、
世界的な景気の減速のマイナスの影響が上回ったもよう。
低迷する軽油相場の先行きは、依然として視界不良。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/shikyou/shi100126.html
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