(読売 7月23日)
「あ、これ、『今の1年のやつ、うざい』って書いてる」
パソコン画面を見ていた学生が、近くの仲間に声をかけた。
青森県の弘前大学。
学生たちは、「弘大ネットパトロール隊」のメンバー。
いわゆる「学校裏サイト」などへの中傷書き込みが社会問題化し、
各地で教育委員会などがネット監視に当たる中、
同市では、全国でも珍しく大学生が監視に取り組んでいる。
パトロール隊は2008年12月、同市教委の依頼を受け、
ネットいじめを研究する学生を中心に発足。
メンバーは現在52人。
学校裏サイトや個人のプロフ(サイト上の自己紹介ページ)を
手分けして監視し、問題ある書き込みを青森県、弘前市、
むつ市の教委に通報。
ネット被害調査、携帯電話のリスクを教える
出前授業なども手がけている。
同隊に参加した動機について、
「携帯で、中学の時から自分でプロフを作っていた。
経験が生かせるのではと思った」、
隊長の同大3年佐藤雄哉さん(21)。
副隊長の同3年大野絵美さん(20)は、
「教員志望なので、勉強にもなる」
これまで、「死にたい」など、自殺予告らしき書き込みを
計9件発見し、市教委などに報告。
深刻そうだった3件は、その日のうちに学校から警察にも
連絡して、子どもの所在を確認し、対応した。
こうした成果もあり、同県は今年度から、同隊の協力を得て、
学校、保護者、地域ボランティアによる
「ネット見守り隊」推進事業を始めた。
同事業モデル校の一つ、県立弘前工業高校のPTA会長、
清野秀美さん(52)は、「ネット上の書き込みは気になるが、
自分では調べ方もわからないし、時間もない。
学生らの協力はありがたい」
指導役の大谷良光・教育学部教授(61)は、
「携帯世代の書き込みは、同じ携帯世代だからこそわかる」
ネットの世界は、動きが速い。
社会の関心を集めた学校裏サイトは、青森ではまだ活動中だが、
全国的にはもはや下火。
子どもたちは、監視されることを嫌い、最近の書き込みの舞台は、
より目が届きにくいプロフやゲームサイト掲示板などに移ってきた。
手口や種類をどんどん変え、ネット上に中傷を書き込む子どもは
残念ながらいる。
そんな子どもの心理を知った生徒指導が求められている。
◆メモ
埼玉県教委が08年に実施した調査では、中学生の6・8%、
高校生の6・6%が、パソコンや携帯電話を使った、
いじめの加害体験があると回答。
理由は、「仕返し」、「気にくわないから」など。
被害体験は、中学生11・4%、高校生15・3%。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100723-OYT8T00222.htm
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