2010年8月1日日曜日

いじめ対策(5)携帯世代がネット監視

(読売 7月23日)

「あ、これ、『今の1年のやつ、うざい』って書いてる」
パソコン画面を見ていた学生が、近くの仲間に声をかけた。

青森県の弘前大学。
学生たちは、「弘大ネットパトロール隊」のメンバー。
いわゆる「学校裏サイト」などへの中傷書き込みが社会問題化し、
各地で教育委員会などがネット監視に当たる中、
同市では、全国でも珍しく大学生が監視に取り組んでいる。

パトロール隊は2008年12月、同市教委の依頼を受け、
ネットいじめを研究する学生を中心に発足。
メンバーは現在52人。
学校裏サイトや個人のプロフ(サイト上の自己紹介ページ)を
手分けして監視し、問題ある書き込みを青森県、弘前市、
むつ市の教委に通報。
ネット被害調査、携帯電話のリスクを教える
出前授業なども手がけている。

同隊に参加した動機について、
「携帯で、中学の時から自分でプロフを作っていた。
経験が生かせるのではと思った」、
隊長の同大3年佐藤雄哉さん(21)。
副隊長の同3年大野絵美さん(20)は、
「教員志望なので、勉強にもなる」

これまで、「死にたい」など、自殺予告らしき書き込みを
計9件発見し、市教委などに報告。
深刻そうだった3件は、その日のうちに学校から警察にも
連絡して、子どもの所在を確認し、対応した。

こうした成果もあり、同県は今年度から、同隊の協力を得て、
学校、保護者、地域ボランティアによる
「ネット見守り隊」推進事業を始めた。

同事業モデル校の一つ、県立弘前工業高校のPTA会長、
清野秀美さん(52)は、「ネット上の書き込みは気になるが、
自分では調べ方もわからないし、時間もない。
学生らの協力はありがたい」

指導役の大谷良光・教育学部教授(61)は、
「携帯世代の書き込みは、同じ携帯世代だからこそわかる」

ネットの世界は、動きが速い。
社会の関心を集めた学校裏サイトは、青森ではまだ活動中だが、
全国的にはもはや下火。
子どもたちは、監視されることを嫌い、最近の書き込みの舞台は、
より目が届きにくいプロフやゲームサイト掲示板などに移ってきた。

手口や種類をどんどん変え、ネット上に中傷を書き込む子どもは
残念ながらいる。
そんな子どもの心理を知った生徒指導が求められている。

◆メモ

埼玉県教委が08年に実施した調査では、中学生の6・8%、
高校生の6・6%が、パソコンや携帯電話を使った、
いじめの加害体験があると回答。
理由は、「仕返し」、「気にくわないから」など。
被害体験は、中学生11・4%、高校生15・3%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100723-OYT8T00222.htm

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