2010年8月6日金曜日

インサイド:高校スポーツを育てる インターハイを前に/5止

(毎日 7月24日)

今年の全国高校総体の男子テニスで、
開校3年目の新鋭校が注目。
兵庫県の相生学院高。

個人戦では昨年も出場したが、今年は団体でも、
兵庫県総体の決勝で7連覇中だった明石城西高を破り、
初めての出場権をつかんだ。
3月の全国高校選抜大会では、団体でベスト8進出。
シングルスでも、池川浩史(2年)が準決勝まで進んだ実力校。

◇柔軟な教育課程

相生学院高は、株式会社立の広域通信制・単位制高校。
相生市が、07年廃校となった中学校舎の活用を図って、
教育特区の認定を受け、08年春、富士コンピュータ販売株式会社
(本社・加古川市)が開校。

株式会社が創立する学校は、04年から認められ、
カリキュラムを自由に組めるメリットがある。
同校には、相生本校と兵庫、大阪、東京などの分校を
合わせて9校あり、テニス部員は加古川校に在籍。

平日は制服を着て、校舎へ通い、火~木曜は正午、月・金曜は
午後3時まで授業。
その後、近くのテニスクラブへ移動し、砂入り人工芝コートと
ハードコートを備えた好環境で練習する。

部員は、3学年合わせて23人。
少人数で、おのずと練習の質は高くなる。

テニス部監督は、加古川校の荒井貴美人副校長(55)。
07年まで23年間、県立の明石城西高で体育科教諭を務め、
私学優勢の高校テニス界にあって、
全国高校総体で団体準優勝、シングルス優勝を果たした。

相生学院高が練習するテニスクラブは、
親族が経営してきたもので、現在は監督自身が代表を担う。

全日制の高校では、下校時間が決まっていたり、
高体連主催以外の大会に出場する時は、
公認欠席が認められないなど、部活動への制約も少なくない。
通信制は、自由が利く。

相生学院高の土屋和男校長は、
「全日制より、社会の変化に対応して合理的。
子供の希望や能力に柔軟に対応できる」と長所を強調。

通信制・単位制高校は、科目ごとに定められた時間数の
スクーリング(登校しての面接指導)以外は、
リポートや試験でも単位が取得できるため、
スポーツに専念しながら在籍しやすい。
プロの錦織圭(ソニー)も、青森山田高通信制を卒業。

◇学習指導も充実

県立高での教員歴が長い荒井監督は、
テニスだけに専念させる怖さも知る。
「プロを目指すにも、違う道に進むにしても、
基本的な学力や生活習慣を身につけないと、成功しない」

部員には、あえて毎日学校に通い、授業を受けさせる。
香川大教育学部付属の坂出中から、相生学院高に入った
池川が、「勉強時間が多くて、最初は『あれ?』と思った」、
嶋田颯人(3年)は、「授業も少人数だから、
全日制の学校より内容が濃いはず」

学校の目標は、世界最大のマネジメント会社「IMG」が設立し、
錦織やマリア・シャラポワ(ロシア)らを育てた
米フロリダ州のアカデミー。

世界中から集まった選手が、午前中は勉強し、
午後は充実した環境で練習する。
荒井監督は、6年前に視察して以来、
「日本でも、意欲や実力を持つ子を伸ばせる
システム作りができるはず」

全国高校総体に向け、学校の1期生でもある嶋田は、
「入学した時から、僕らが伝統を作るつもりで
妥協せずやってきた。
最大の目標だった団体の全国制覇を果たしたい」

並々ならぬ意気込みを胸に、
本番の舞台、沖縄へ乗り込む。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/07/24/20100724ddm035050068000c.html

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