2010年8月2日月曜日

いじめ対策(6)専任教諭 細かく目配り

(読売 7月24日)

横浜市立岡村小学校(同市磯子区)。
休み時間に行われる恒例の縄跳びタイムで、女児が一人、
児童の輪から外れて座り込んだ。
児童支援専任教諭の黒川素子教諭(48)が、すかさず駆け寄り、
女児の脚に、縄が当たってできたアザを認める。
「ひとりじゃ行きにくかったのね」と語りかけ、優しく保健室へと導いた。

「担任一人では、どうしても目が届かない児童が出てくる。
そうした子の変化に素早く気づき、フォローするのが、
専任教諭の役割」と、黒川教諭が説明。

同市教育委員会は今年度から、いじめや暴力行為などに
専門的に対応する児童支援専任教諭を、
市内70小学校に配置した。

各校で、校長がベテラン教師から指名し、
特別支援教育コーディネーターを兼任する。
2007年度から実施したモデル事業で効果が確認され、本格導入。
今後5年間で、全346小学校に広げる計画。

「中学校では、1973年度から専任教諭を導入、
ここ数年は子どもをめぐる問題が低年齢化し、
小学校にも置いてほしいと要望が強まっていた」
同市教委人権教育・児童生徒課の斎藤宗明課長(54)。

市内の20小学校で行われたモデル事業では、
給食当番の配膳を受け取らないなど、様々ないじめが確認。
いじめがいかに卑劣な行為であるかを、専任教諭が指導し、
いじめが深刻化する前に解決した事例も。

専任教諭4年目になる黒川教諭は、登校時は校門に立ち、
掃除の時間は、教室を回って児童に頻繁に声をかける。
「何でも相談できる存在が、専任教諭。
保護者にとっては、成績をつける担任とは違う中立な存在」

市内の別の小学校のPTA役員は、
「学校と保護者との間の垣根が低くなった」と評価。

こうした取り組みに注目する自治体もある。
広島市教委の砂原文男・生徒指導課長(57)は、
「小学校から専任がきっちりと対応すれば、
中学校のいじめ防止などにもつながる」

一方で、「専任教諭の負担軽減のために、雇う教員の人件費が
ネックとなり、簡単には導入できないが」

学級担任制の小学校では、児童の問題を
担任一人で抱え込みがちだ。
専任教諭を置くことで、いじめなどの問題に学校という
チームで立ち向かう体制を作り上げる。
そこに、横浜市教委の狙いがある。

◆児童支援専任教諭

学級担任にはならず、授業は軽減または免除され、
いじめや暴力行為などに専任で対応する小学校教員。
中学校では、配置が義務づけられている生徒指導主事を
専任とする場合が多いが、横浜市のように
小学校に置くのは全国的にも珍しい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100724-OYT8T00264.htm

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