2010年8月3日火曜日

いじめ対策(7)アニメで育む思いやり

(読売 7月28日)

徳島県鳴門市立撫養小学校5年の教室。
前方のスクリーンに、泣いている男の子「とっ平くん」と、
彼を見守る鳥のキャラクター「フレン鳥」の
アニメーションが映し出された。
鳴門教育大学(同市)の予防教育科学教育研究センターが
開発した予防教育の教材。

アニメには、両親とはぐれた女の子が登場し、
この子を助ける方法を、5人の班に分かれて話し合うことに。
「声をかける」、「お母さんとお父さんの所に連れて行ってあげる」など、
できそうな案を考えて発表。

「助け合いのやり方は、いっぱいあることがわかったね」、
授業で講師を務めた同センター研究員の勝間理沙さん(33)。
映像は、フレン鳥がみんなの「仲良しパワー」をアップさせ、
とっ平くんにクラスの女の子が「大丈夫?」と、
声をかける場面で終わった。

同センターは2009年設立、心理学、医学、栄養学、保健学などの
専門家が、いじめや不登校などを防ぐ予防教育科学を研究。
国内外の実証データを現場教育に生かし、子どもを救うのが狙い。

同センター所長の山崎勝之・同大教授(55)は約10年間、
いじめなど問題行動を起こす子どもの心や行動の特徴を研究。
この結果、いじめる側に回る子どもは、
共感性が低いなどのデータを得た。

授業で使う教材は、子どもたちを引きつけるため、
連続ドラマ仕立てにし、とっ平くんなどのキャラクターを登場、
最後にとっ平くんがみんなと仲良くなるという話に。
アニメは、センターの研究員がパソコンで手作りし、
計40分程度のものが完成。

センターは今年度から、これらのアニメ教材を使ったり、
子ども同士で話し合う小集団活動を取り入れたりした
「『いのちと友情』の学校予防教育」を開始。
県内の6小中学校に講師を派遣し、いじめ、うつ病やストレス、
生活習慣病などを予防するための授業を行っている。

撫養小でも、いじめや暴力などの予防を目的に、
6~7月に週1回、計6回の授業を実施。
授業を受けた児童の対人関係力などを調べたところ、
「困っている友人を助けるか」などの評価が事前より上がった。

来年度から、研修を受けた現場教員が、
これらの授業を一部受け持つ。
教員養成大学に蓄積された研究データが、
現場の対策に活用されている。

◆予防教育科学

子どもが、いじめや暴力で学校に適応できなくなったり、
うつ病や肥満などで心身の健康を損なったりする前に、
予防的に子どもの力を維持、向上させていこうという考えの教育。
すべての子どもが、このような問題を持つ可能性があることを前提。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100728-OYT8T00343.htm

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