(読売 7月28日)
徳島県鳴門市立撫養小学校5年の教室。
前方のスクリーンに、泣いている男の子「とっ平くん」と、
彼を見守る鳥のキャラクター「フレン鳥」の
アニメーションが映し出された。
鳴門教育大学(同市)の予防教育科学教育研究センターが
開発した予防教育の教材。
アニメには、両親とはぐれた女の子が登場し、
この子を助ける方法を、5人の班に分かれて話し合うことに。
「声をかける」、「お母さんとお父さんの所に連れて行ってあげる」など、
できそうな案を考えて発表。
「助け合いのやり方は、いっぱいあることがわかったね」、
授業で講師を務めた同センター研究員の勝間理沙さん(33)。
映像は、フレン鳥がみんなの「仲良しパワー」をアップさせ、
とっ平くんにクラスの女の子が「大丈夫?」と、
声をかける場面で終わった。
同センターは2009年設立、心理学、医学、栄養学、保健学などの
専門家が、いじめや不登校などを防ぐ予防教育科学を研究。
国内外の実証データを現場教育に生かし、子どもを救うのが狙い。
同センター所長の山崎勝之・同大教授(55)は約10年間、
いじめなど問題行動を起こす子どもの心や行動の特徴を研究。
この結果、いじめる側に回る子どもは、
共感性が低いなどのデータを得た。
授業で使う教材は、子どもたちを引きつけるため、
連続ドラマ仕立てにし、とっ平くんなどのキャラクターを登場、
最後にとっ平くんがみんなと仲良くなるという話に。
アニメは、センターの研究員がパソコンで手作りし、
計40分程度のものが完成。
センターは今年度から、これらのアニメ教材を使ったり、
子ども同士で話し合う小集団活動を取り入れたりした
「『いのちと友情』の学校予防教育」を開始。
県内の6小中学校に講師を派遣し、いじめ、うつ病やストレス、
生活習慣病などを予防するための授業を行っている。
撫養小でも、いじめや暴力などの予防を目的に、
6~7月に週1回、計6回の授業を実施。
授業を受けた児童の対人関係力などを調べたところ、
「困っている友人を助けるか」などの評価が事前より上がった。
来年度から、研修を受けた現場教員が、
これらの授業を一部受け持つ。
教員養成大学に蓄積された研究データが、
現場の対策に活用されている。
◆予防教育科学
子どもが、いじめや暴力で学校に適応できなくなったり、
うつ病や肥満などで心身の健康を損なったりする前に、
予防的に子どもの力を維持、向上させていこうという考えの教育。
すべての子どもが、このような問題を持つ可能性があることを前提。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100728-OYT8T00343.htm
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