2010年8月24日火曜日

化学物質に対する周知度の差は

(サイエンスポータル 2010年8月20日)

内閣府が、「身近にある化学物質に関する世論調査」の結果を公表。
「化学物質」という言葉についての印象について、
「危ないもの」69.7%、「現在の生活になくてはならないもの」25.5%。

最初の質問は、「化学物質」という言葉の周知度を見たもの。
「よく聞く」57.5%、「あまり聞かない」42.5%。
この数字を、どう見るべきなのだろうか?

「あまり聞かない」と答えた人たちが、
「化学物質とは何か、実はよく分からない」人たちだったとすると、
こちらの方こそ心配では。

そうした懸念が取り越し苦労ではないかも、と思わせる数字も。
住んでいる地域や男女による回答の差はほとんどないのに対し、
年齢による差は大きな違いがある。

60歳代で65%、70歳以上で60.3%が、化学物質という言葉を
「よく聞く」と答えているのに対し、20~29歳は際だって低く、
「よく聞く」36.8%しかいない。
「よく聞かない」63.2%、はるかに多くなっている。
30~39歳も「よく聞く」(50.4%)、「よく聞かない」(49.6%)。
若い層ほど、「化学物質」という言葉を「よく聞かない」人が多い。

「化学物質」という言葉についての印象について、
20~29歳は「危ないもの」62.6%、
「現在の生活になくてはならないもの」25.7%、
それ以上の年齢層を加えた平均値である69.7%、25.5%と
それほど乖離は見られない。

ゆとり教育の是非が大きな問題となり、小学校・中学校の
新学習指導要領が08年告示。
小学校は11年度、中学校は12年度から完全実施、
授業時間の削減が続いていた小・中学校の理科と数学の
授業時間増が図られる。

理科の授業時間が減り出したのはいつからか?
小学5、6年の理科の授業時間削減が始まったのが80年度、
中学1、2年で81年度。
92年度には小学1、2年生の理科がなくなり、社会科もなくなり、
代わりに生活科という科目が新設。

生活科を履修した、小学1、2年で理科がなかった最初の人々が、
今年度に25~26歳に。
80年度と81年度に初めて小学5、6年と中学1、2年で、
理科の授業時間削減を経験した人たちが、今年度に41~43歳に。

「化学物質という言葉をよく聞かない」人たちが、
20~29歳で急に増え、30~39歳も40代、50代、60代、
70歳以上の各年齢層に比べ、7~14ポイント増になっていること、
小・中学時代の理科の授業時間削減は関係ないと言えるか?

理科や数学の授業時間が増える新学習指導要領でも、
小学1、2年生の生活科はそのままに。

http://www.scienceportal.jp/news/review/1008/1008201.html

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