2008年11月30日日曜日

「体育」を見直す(7)痛くないバレーボール

(読売 11月26日)

軟らかい運動器具を使った痛くないスポーツが人気だ。

円周は約80センチ、重さは約100グラム。
普通のバレーボールよりもひと回り大きく、重さは半分以下。
東京都江戸川区立南葛西第三小学校で、
3年生のソフトバレーボールの授業は、歓声の連続だった。

担任の浅野一也教諭(48)の呼びかけで、6~7人ずつ6チームに
分かれた児童は、3面のバドミントンコートを使って一斉に試合を始める。
両手ですくいあげるようにして投げられたボールは、
ふわりと相手コートに運ばれる。

「ワンバウンドまではセーフ、何回で返しても大丈夫」という独自ルールもあり、
相手チームの児童はワンバウンドを待ち、
手のひらを使ってボールを上にあげる。
アタックに挑戦する児童もいるが、ボールは空気抵抗を受けながら
ゆっくりと相手コートに届く。
ラリーが続いた末に点が入ると、児童は「イェーイ」と叫んで万歳をした。

元々、地域のスポーツ少年団でもバレーボールを指導している浅野教諭。
「バレーボールのすそ野を広げたい」と、
現行の学習指導要領では中学校から扱うことになるバレーボールの前段として、
3年生でも楽しめるソフトバレーボールを授業に取り入れている。

新学習指導要領では、小学校3、4年生で取り組む「ネット型ゲーム」の
例として、ソフトバレーボールが挙がっており、
浅野教諭の取り組みは新指導要領を先取りした形にもなる。

「中学でいきなりバレーボールをやっても、上手な生徒だけが活躍したり、
ラリーが続かずに終わったりして、
『つまらない、バレーボールなんてやりたくない』と思わせてしまう」と浅野教諭。
それならば、小学校から「バレーボールは楽しい」と思わせることが大切。

楽しませるには、「怖くなく痛くないことが大原則」。
その点、ソフトバレーボールは軟らかいため、突き指をする心配もないし、
ボールに当たっても痛くない。

子供たちの感想も、「普通のバレーボールは顔に当たると怖そうだけど、
ソフトバレーボールは軟らかいから怖くない。眼鏡をかけていても大丈夫」と好評。

バレーボールのほかにも、「痛くない」運動用具は人気。
同小では、低学年クラスに軟らかいドッジボールが置かれている。
「硬いボールだった時は、好きな子だけが休み時間、運動場で遊んでいたが、
今は男女とも競ってボールを持っていく」と浅野教諭。

鉄棒には、鉄棒カバーを巻き付けている。
体が鉄棒に当たっても、痛くないように作られたもの。

同小では最近、階段を2段飛び降りただけで骨折した子供もいた。
「良い悪いではなく、今の子供は、
けがをしやすいということを理解してやっていくしかない」

子供に嫌な思いをさせないだけでなく、現実的な安全の確保という面でも、
軟らかい用具は重要な要素になっている。

◆ボールゲームの分類

小学校の現行の学習指導要領では、ボールゲームを
「バスケットボール型」、「サッカー型」、「ベースボール型」に分類、
新指導要領は「ゴール型」、「ネット型」、「ベースボール型」とした。
固有の種目ではなくゲームの型を学ぶことで、
将来、様々な競技に応用できる力を身につけさせるのが狙い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081126-OYT8T00273.htm

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