(読売 11月29日)
小学校教師の研究会が、種目や学年ごとの到達目標を作り始めた。
周囲の山々の緑が闇に沈むころ、熊本県菊池市立隈府小学校の体育館に、
ジャージー姿の教師が続々と集まってきた。
周辺4市町の教師で作る菊池郡市小学校体育研究会の研修会。
この日は、両脚を開いて跳び箱を跳ぶ「開脚跳び」の補助の仕方を学ぶ。
教師を目指す熊本大生も含めた20人が参加。
講師役は、同市立迫水小学校の冨永泰寛教諭(40)。
冷え込んだ体育館で太鼓を鳴らし、体を温める準備運動から
適正な人数でのグループ分けまで順序立てて説明。
「必要なのは体重移動だけ」と冨永教諭。
跳び箱の脇に立ち、跳び箱にまたがった教諭の上腕を軽く握って、
前方に軽く放り出す。
「これで、ほぼ100%跳べない子を跳ばせる事が出来ます」。
見事な着地に拍手が起こった。
合志市立西合志中央小学校の石田晴香教諭(28)は、
悲鳴まじりで跳び箱に挑戦した。
小学生の時から恐怖心がぬぐいきれず、体が動かなかった。
苦手な児童の気持ちは、痛いほど分かる。
大学の授業では、自分が跳ぶのに精いっぱい。
理論は習ったが、感覚は分からないまま教師になった。
これまでは、上手な子の実技をお手本にするように呼びかけるだけ。
しかし、研修会で補助の仕方がすとんと胸に落ちた。
「まさに『百聞は一見にしかず』。参加して良かった」
研究会の研究部長、菊池北小学校の佐藤政臣教諭(43)は、
「苦手な教師が得意な教師から学ぶだけでなく、
得意な教師は苦手な教師を通して、苦手な児童の気持ちが分かるようになる」
1994年に始まった研究会は、新たな取り組みに挑戦中。
種目ごとに、各学年の標準的目標となる「スタンダード」と、
目標達成のための最低基準の運動技能「ミニマム」作りだ。
2005年から作業を始め、昨年度にまず水泳を定義した。
今年は器械体操を策定しており、来年初めにも郡市内の小学校に配布。
「段階的な指導目標が分かるようになった」。
山鹿市立岩野小学校の上野元嗣教諭(35)は、
「ミニマム」、「スタンダード」作りを歓迎する。
教師になって4年目。
仕事をしながら、大学の通信教育で教員免許を取得したため、
実技指導を受けた経験がない。
「学習指導要領で、あいまいな部分が明確に書いてある。
成績評価にも役立った」
国は、指導要領で到達目標を示してはいないが、
子供たちに目標を示すことは、教師の教え方の充実にもつながる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081129-OYT8T00254.htm
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