2008年11月30日日曜日

県栽培漁業協会 タイヤチップボイラー導入燃費削減に“救世主”

(東海新報 11月22日)

大船渡市末崎町の県栽培漁業協会(大井誠治会長)は、
飼育施設用ボイラーの重油使用量抑制を目的に、
漁業用としては全国でも珍しいチップ状のタイヤを使った
ボイラー二基を導入することを決めた。

同協会は、アワビ稚貝やヒラメ、サケなどの稚魚を育成し、各漁協などに出荷。
現在は、重油ボイラーが魚類に3基、アワビに4基備えられ、
冬場を中心に加温して水槽内の海水温を上昇。
アワビの場合、親貝の採卵のため12月ごろから加温し、
最高で20度程度まで水温を高める。

ボイラー用には、年間で800~1100キロリットルの重油使用を見込む。
海水温が高かった19年度の使用量は800リットルを切り、
重油購入費も前年以下の5300万円に抑えたが、
それでも5年前の2倍以上の費用。

今年はさらに重油価格が急騰、4年前のほぼ2倍。
海水温が例年より1~2度低く推移し、冬期の重油使用量増が見込み。

かさむ燃料費が経営を圧迫する事態に、
「高騰分を出荷価格に上乗せして、漁協に負担してもらうわけにもいかない。
なんとかしなければとの思い」(川畑浩平総務部長)と、
約6100万円を投じて、タイヤチップを使ったボイラーの導入を決めた。

同ボイラーと重油式ボイラーを現在の燃料価格で比較した場合、
タイヤチップの燃焼効率を重油の8割として試算しても、
1基当たりの燃料費は年間約1200万円安くなる。

今回は、アワビと魚類用に各1基ずつの導入で、
12月中旬ごろから本格稼働できる見通し。
重油ボイラーの稼働を抑える補完用としてだが、燃料費削減へ期待は大きい。

ボイラーを販売した(株)工藤(八戸市)の工藤博常務は、
「タイヤをあぶり、出したガスを二次燃焼するので燃焼効率がいい。
ガスに最適な空気を混ぜて燃やす技術を取り入れ、黒煙なども出ず、
環境に優しい燃焼を行える」

タイヤチップを利用したボイラーは、県内でも老人福祉施設の入浴設備や
野菜のハウス栽培などに用いられ、漁業育成用では初。
全国でも珍しい導入例として注目を集めそう。

http://www.tohkaishimpo.com/

0 件のコメント: