2008年12月2日火曜日

「体育」を見直す(9)発達障害への対応模索

(読売 11月28日)

発達障害や不登校経験のある子供たちの授業や生活改善に模索が続く。

体育館に集まった生徒は13人。3人が欠席。
対する教師は3人。手厚い体制に驚く。
横浜市の私立星槎中学・高校で、高校3年生の体育の準備体操が始まった。

「○○君を起点に広がって」と、教師の1人が手を挙げて指示を出す。
ただ「広がって」でないのは、その方が指示行動を理解しやすいからだ。
この日の授業はバドミントン。
教師が模造紙に書いた図を見せて、打ち方の種類を説明する。
耳で聞くだけでは、認知しにくい生徒への配慮。

同校や、通信制高校と連携した教育施設という位置づけの星槎学園など、
星槎グループは長年、発達障害があったり、不登校を経験したりという
生徒も多数受け入れてきた。
神奈川県大磯町で、星槎大学を含む新キャンパス構想を進めている。

学校には、体育に苦手意識を持ったまま進学してきた生徒が多い。
不用意な言葉一つで、やる気がなえてしまう子も珍しくないだけに、
どうすれば、けがをさせずに体育の時間を楽しく過ごし、
達成感を持たせるかが、以前から重視されてきた。

バスケットボールなら、リングに当たっただけで得点という風に、
ルールに工夫を加え、意識的に、競技人口の少ない新スポーツも取り入れる。
過去に体験した、いやな記憶を思い起こさずに済むから。

2年前からは、旧筑波大学付属聾学校などでの教員歴を持つ
東海大学体育学部の内田匡輔講師(38)が、
星槎大学を含むグループ内の教員と共同研究も始めた。
星槎グループの創設者、宮沢保夫会長(59)が、
「体育を魅力的なものにできれば、子供たちはもっと変わるはず」と
依頼したのがきっかけ。

グループでは元々、体育に限らず、生徒の障害の程度や経歴を把握する
個別指導計画を持っているが、内田さんの提案で、
1回ごとに授業カードを作り、生徒自身が、天気や体調とともに、
授業の感想や授業に対する評価を記している。

教室や廊下を使う実技の授業も試みた。
新聞紙を使うストレッチや、ボックスホッケーと呼ばれるミニホッケーなど、
どれも手軽にできる。
生徒たちの評判は上々だったが、「逆に、教室での体育に満足するということは、
生徒たちには、リハビリの授業が必要だということの裏返し」と内田さん。

授業での様子やアンケートの結果を見るうちに、
内田さんが改めて気づいたのは「体調が悪い」、「疲れた」という答えの多さ。

グループの中の4校の高校生を対象に今年7月、生活実態を調査した結果、
朝食を食べているのは47・9%。
ガムやお菓子で「食べた」とする生徒も含んだ数字。
排便が2日や3日に1度、入浴はシャワーだけという子も目立った。

体育の授業の前に生活を見直す――
生涯をできるだけ健康に過ごすためには、家庭の協力が欠かせない。

◆朝食食べる高校生72%

文部科学省の委託を受けた東海大アクティブライフ委員会が、
全国の小中高校生1万4420人を対象に、
今年6~7月に実施した調査によると、
朝食を食べているのは小学生90%、中学生84%、高校生72%。
成長するに連れて欠食率が高くなる。
調査は、「早寝早起き朝ごはん」国民運動の一環。
同委員会では、生活習慣と体力の関係を分析中。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081128-OYT8T00179.htm

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