(読売 11月27日)
運動が不得手な児童も、積極的に参加できるチーム球技がある。
静岡市立横内小学校の教室前の廊下には、
数百個のドッジボールが並んでいる。
児童一人ひとりの「マイボール」だ。
そのドッジボールを使う球技「ヨコウチセスト」は、4年生の授業。
アルゼンチン発祥のバスケットボールのような球技「セストボール」を、
同小が約20年前に導入、改良を重ねてきた。
板のないバスケットのゴールが両陣内の中央に一つずつ置かれ、
パスを回してゴールを目指す。
ゴールは360度、どこからでも狙える。
ドリブルは禁止だ。
ゴールは高さ2メートル30、直径70センチで、バスケットより75センチ低く、
25センチ大きいため、シュートが入りやすい。
ドッジボールを使うのは、バスケットボールより軽く、子供が扱い慣れているから。
本来は1チーム5人だが、一人ひとりの役割を増やそうと、
3年前から3人に減らしたり、3対2にしたりと工夫を始めた。
11月初旬の授業は、1チーム3人の男女混合で行われた。
全員がボールを捕ったり、空いているスペースに走り込んだり。
ボールに触れない児童はいない。
勝ったチームは、手をたたいて喜んだ。
「チームワークが一番大切。みんなで作戦を練り、うまくいったら楽しい」と
宮坊昌宗君(10)。
「バスケットだと、上手な子供がドリブルしてゴールを決め、
それだけで勝ててしまう。しかし、セストはパスを回さないと勝てない。
みんながボールに触れる」と授業を指導した高島慎吾教諭(42)が説明。
高島教諭のクラスでは、持久走がいつも最下位で、運動の苦手意識が強い
女児がセストのシュート数がチームで最多になったことがある。
これも、運動能力が向上したというより、自然にボールが回って来た結果。
人数を減らしたゲームを繰り返したことで、5人の試合でも、
一人ひとりの動きが格段に良くなるという効果も出た。
同小では、ほかの集団競技でも、運動の不得意な児童もゲームに
参加できるようルールを変えている。
例えば、サッカーではゴールが四つ。
運動能力の高い児童がドリブルでゴールに前進しても、
もう一つのゴール前の空いたスペースにチームメートを見つけるとパスを選択。
誰にでもボールが行き渡る仕組みだ。
こうした数々の新スポーツを生み出すのが、40年前からの同小の伝統。
球技だけでも、学年ごとに3種目程度、開発したスポーツがあり、
その変形を合わせると100種類近い球技を実践。
現在、中心的に教材開発している金森寛教諭(41)が、
「既存のスポーツは、難しすぎて小学生に合わない場合も多い。
成長に沿った授業をするには、自分たちで新種目を作らないと」と訴える。
10月末の同小の公開授業には、全国から130人以上が訪れた。
先進校の取り組みが広がりを見せようとしている。
◆体育好きの小学生増
ベネッセ教育研究開発センターの調査では、小学5年生約2500人のうち
「体育が好き」と答えたのは、1990年79.4%、96年80.9%、
2001年81.6%、06年84.9%と、年々増加。
「指導の重点が、技能を身につけさせることから、
楽しさを感じさせることに移っているからではないか」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081127-OYT8T00188.htm
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