2009年4月27日月曜日

大学受験は「理高文低」 景気映し高まる地元志向 食料問題で農学部は志願増

(2009年4月22日 共同通信社)

人生の分岐点となる大学受験。
若者には自由に未来図を思い描いてもらいたいが、
世相と無縁ではない実情も。

2009年の入試は、景気悪化を映し親元から通える地元大学を目指す
傾向が鮮明、食への関心の高まりから農学部志願者が増加。
日本人のノーベル賞受賞者が出たこともあり、
理系人気が復活し、「緩やかな理高文低」に。

「確実に受かる大学を選ぶ傾向が強まった」
大手予備校・河合塾の近藤治教育情報部長は、今年の特徴をこう説明。

背景にあるのは、景気悪化と学生の安全志向。
関東の最難関私大では、駄目でもともとの"記念受験"が減って、
志願者は減少。
関西の難関私大では、1割近く受験者数が減った大学も。
中堅大学が人気になった。
駿台予備学校は、「最難関校を目指す層と、堅実に動く層との二極化が進んだ

受験料は、1校当たり平均3万5000円。
それを気にして受ける大学数(1人平均6校)を
絞り込むことはなかったようだ。
自宅の3倍もお金が掛かる「下宿生」となる地域への受験は、ためらう傾向。

志願者が増えたのは、地方大学。

福岡の私立・西南学院大や公立はこだて未来大、岩手県立大、島根大、
大分大などの伸びが目立った。

河合塾の近藤部長は、「わざわざ東京や大阪に行っても、
4年後に就職があるとは限らない。
景気悪化は、地方にとっては優秀な人材を引き留めるきっかけになった」

専攻別では、農学部と理学部が人気。
世界的な食料危機を受けて、学生も食への関心を高めたようで、
低迷していた農学部が注目。
東京農業大は、志願者が1割も増加。

理学部人気は、日本人のノーベル賞受賞者が出たため。
「政府が、理科や数学教育に力を入れる高校へ手厚い支援を
してきた成果が出始めている」

食料や健康、環境問題に関連するバイオサイエンスは、女子に人気が高い。
卒業後、多くが食品や化学メーカー、製薬会社などに就職。
勉強の成果が将来、生かせるのも選んだ理由。

志願者が減ったのは、歯学部。
駿台予備学校調べでは私立で40%、国公立で15%も減少。
歯科医師が多すぎるため。
医学部は、定員が増えたのに志願者はほぼ横ばい。
長時間労働などの医師の"激務"が明らかになり、敬遠された面も。

景気と連動して、志願者が増減する経済学部や商学部は微減。
「もっと減ってもおかしくないが、景気悪化が急激すぎて、
受験生が対応しきれなかった」(大手予備校)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/22/95727/

0 件のコメント: