2009年4月28日火曜日

インタビュー・環境戦略を語る:NEC・矢野薫社長

(毎日 4月20日)

「環境経営ビジョン2010」を推進するNECは、
パソコンや携帯電話端末など省電力製品の開発に加え、
オフィス全体の省エネ化を企業に提案し、
「技術革新による人と社会にやさしい情報社会づくり」を目指す。

成長期待が高い半面、競争も激しい環境市場で、
NECはいかに独自性を発揮し、業界をリードしていこうとしているのか?
矢野薫社長に聞いた。

--03年から始めた環境ビジョン2010の進ちょく状況は?

◆ビジョンには2本の柱があり、一つは「IT(情報技術)のエコ」
携帯電話向けシステムLSI(大規模集積回路)の低電力化や、
コンピューターサーバーの省電力・軽量化など、
環境に配慮した製品開発。
「10年までに製品ごとのCO2排出量の半減(05年度比)」を目標。

もう一つの柱は、「ITによるエコ」
企業向けに、オフィスの空調や照明から、データセンターなどの
制御技術を向上させることで、CO2排出量の削減を提案。
ITを効率的に活用すれば、消費を抑制できる。
資料のペーパーレス化は、森林保護など環境に役立つだけでなく、
業務効率の向上や費用削減効果も大きい。

--普及への手応えは?

◆5年前、NECが提案する最先端の職場像を体現した実証オフィス
「品川ブロードバンドオフィス」を開設。
資料の電子化や無線LAN(企業内情報通信網)で、ノートパソコンを
社内外のどこでも業務に使えるシステム、ウェブ会議などITを駆使し、
CO2排出量が従来型のオフィスに比べ、40%以上削減でき、
社員も働きやすくなることを目で見て実感してもらえる。

--環境対応だけでなく、働きやすいオフィスも提案している。

◆目指すのは、単にCO2排出量の削減だけでなく、
「人と地球にやさしい情報社会」
ITをうまく使えば、在宅勤務ももっとしやすくなり、
女性が働きやすい職場づくりも進む。
NECでは、自宅や外出先などどこにいても、オフィスと同じように
業務が行えるテレワークを全社展開し、2万人が参加。
働く人のニーズに合わせたワークスタイルの革新も、積極的に提案。

NECには、公害問題が深刻だった70年代から
環境対策に取り組んできた実績があるうえ、
半導体やエコカー向けリチウムイオン電池からIT機器、システムまで
総合的に事業展開している強み。
日本を、人と地球に優しい情報社会にしていくリーダー企業になりたい。
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◇やの・かおる

東京大工卒、66年NEC入社。
「NEC USA」、「NECネットワークス・カンパニー」社長などを経て、
06年4月から現職。神奈川県出身。65歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/04/20/20090420ddm008020003000c.html

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