2009年5月1日金曜日

5月病から新入社員守れ 上司の心得教えます

(日経 4月22日)

新入社員が職場環境に適応できず、仕事へのやる気を失う
「5月病」のシーズンが近づいている。
新入社員を部下に持つビジネスパーソンは、
どのような対策を用意すべきなのか?

人事コンサルティングのJTBモチベーションズで講師を務める
野本明日香さんと菊入みゆきさんの話。

◆ケース(1)
上司Aさんが、新入社員B君に会議用資料をコピーするように命じた。
Aさんは、「これやっておいて」と、何の説明も加えずに丸投げし、
B君は「なぜ自分がこの作業をしなければならないのか」と不満を抱いた。
こうしたことが積み重なり、B君はやる気を失った。

新入社員を指導するうえで念頭に置いておきたいのが、
彼らの適職願望の強さだ。
学生優位の新卒採用市場を経て入社してきた彼らは、
自分に合った職を求める傾向が強い。
周囲の大人に大事に育てられたこともあり、
放っておかれることへの免疫も弱い。

なぜこの作業を任せるのか、どのような役割を果たすのか、
を説明してあげないと、新入社員のやる気は高まらない。
Aさんが会議用資料の重要性を伝え、資料を扱わせることの
意義を説いてあげれば、B君の受け止め方は違ったはず。
資料を目にすれば、会社がどのような課題に取り組んでいるのかが
見えてくることを教えておけば、B君のやる気は高まったかも。

◆ケース(2)
Aさんの指導もあり、仕事に懸命に取り組むB君。
AさんはB君に、「頑張っているな」と肩をポンとたたいた。
B君は、なぜそのようなことを言われたのかが理解できず、
Aさんの心遣いは伝わらなかった。

ほめ方も重要なポイント。
社会問題となった内定取り消し騒動で、彼らは企業の本音と建前の
使い分けに敏感になっている。
「頑張っているな」と漠然とほめても、心には響かない。

では、どうすべきなのか?
キーワードは「承認」だ。
彼らがこなした仕事の価値を認めてあげるのだ。
「営業部のCさんが、君の用意した資料がわかりやすかったと喜んでいたよ」と
第三者の視点を交えて具体的にほめれば、効果は大きくなる。

JTBモチベーションズによると、入社1-2年目までは、
仕事の達成感よりも、職場の人間関係がやる気に影響を与える。
自己愛が強く、家族や友人が大好きな彼ら。
上司や先輩を身近に感じれば、5月病を防げる可能性も高まる。
新人時代の失敗談などを話す姿勢が、上司には求められる。

◆ケース(3)
徐々に仕事を覚えてきたB君だが、時には失敗することも。
同期入社の友人と居酒屋で、会社や上司への愚痴を互いに
話していくうち、今の職場に嫌気がさしてきた。

社会人経験の乏しい新入社員は、総じて視野が狭い。
目の前のことにしか関心が持てない人同士が集まっても、
愚痴の言い合いになり、気持ちがさらに落ち込んでしまう。

こうした時に役立つのが、「メンター(助言者)」と呼ばれる存在。
若手社員を新入社員のメンターに指名し、困っていることや悩み事の
相談に応じるように指示する。
上司には相談しにくくても、年齢が近い先輩であれば話しやすい。

仕事の与え方にも気を配りたい。
競争の少ない環境で育っただけに、失敗を極度に恐れる傾向。
1週間や1カ月で達成できる小さな目標を設定することが重要。
成功体験の積み重ねが、次の仕事への糧になる。

体調管理にも注意したい。
血行や血糖値は、モチベーションを左右する。
朝食を取り、休日は体を動かすように指導することも、5月病対策。

◆人材育成コンサルティング会社、ラーニング&カルチャー・イノベーション
内田正志社長の話

5月病は、「自分はやっていけるのだろうか」という漠然とした不安から生じる。
新入社員の不安は、「自分のスキルが低いのではないか」と悩む場合と
「この会社は自分に合っていないかもしれない」と考える適応障害の2つに大別。

新入社員のストレスは、一般に入社5週目にピーク。
上司や先輩は、彼らを注意深く見守り、疲れた表情やため息など、
5月病の予兆を感じ取ってほしい。

最近は、インターネットの掲示板に会社への不満を書き込む例が目立つ。
こうした方法は、結果的にストレスを増幅させるだけでなく、
同僚にも迷惑であることを知らせる必要。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090422.html

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