2009年4月26日日曜日

“高密度出張”成功術 移動中機内を仕事場に

(日経 4月15日)

会社の経費管理が厳しくなる中、出張にはこれまで以上に
効率と成果が求められている。
海外では、不測の事態への備えも欠かせない。
備えあれば憂いなし。
国内外を飛び回るビジネスパーソンの着眼点などを参考に、
「失敗しない出張術」を探ってみた。

コクヨの人材開発部の赤木由紀さん(38)は、飛行機での移動が多い。
社員1人ひとりが個々の事情に即した働き方をする
「ダイバーシティー」の伝道役として、グループの全国の職場を訪ね歩いている。

東京勤務の赤木さん。
スケジュール帳の4月のある日、大阪本社で午前9時から午後6時まで、
6件の打ち合わせをこなす予定が書き込まれている。
昨年は1日4件程度だったが、経費節減で出張の密度がより濃くなった。

赤木さんは、「高密度出張」を成功させるための作業を
移動中の機内でこなす。
スケジュールに余裕があれば、合間の時間に次の予定の準備ができるが、
1日6件ではそうはいかない。

「すき間時間の活用が大事になる」
鉛筆を取り出し、会議の説明資料に想定問答やページごとの
時間配分などを書き入れ始める。
内容のチェックにとどまらず、議事進行をシミュレーションする。
一種のイメージトレーニングだ。
かける時間は、1件の会議につき10分程度。

シナリオを組み立てておけば、現地に着いてからの打ち合わせも
スムーズになる。
「行き当たりばったりでは、必要な話ができなかったり、
予定時間をオーバーしたりで、1日3件程度しかこなせない」

タイムマネジメントこそが、経費節減時代の高密度出張をこなす秘訣。
出張報告に、必要な議事録を前倒しで作成してしまうのもポイント。
「翌日から新たな仕事に取りかかれるし、
会社も会議の結果に迅速に対応できる」

会議の席に、パソコンを持ち込んで8割がたを当の会議中に仕上げる。
やりとりの流れを事前に読む作業がここでも効いてくる。

「機内は、会社や取引先から連絡が入らないので仕事に集中できる」
神戸製鋼所の米国ガス圧縮機子会社、
コベルコEDTIコンプレッサーズの古賀隆郎さん(45)。
ヒューストンを足場に、カナダなどを含む北米にほぼ毎週、
南米には2カ月ごと、日本にも3カ月ごとに出張する営業マン。

機内では、顧客への事業提案などについての思案や資料づくりで過ごす。
事前に検討テーマを決めておき、必要なデータ集などを持って
飛行機に乗り込む。
成田までの14時間中、食事の2時間を除いて仕事をしていたことも。

バッテリー切れを心配せずに、パソコンで長時間作業するために
気に掛けているのが、「インフラ確保」。
コンセントがあるかどうかは、機種や座席のクラス、
位置によって異なるからだ。
古賀さんは、「航空会社に電源が使える席がどこかを尋ねてから予約する」
同じことは、日本の航空機や新幹線などでもあてはまる。

富士ゼロックス秘書室長の中島康光さん(47)は、相談役最高顧問を
3月末に退任した小林陽太郎氏の秘書を長年務めたベテラン。
多い年には、海外出張だけで80-90日。
海外では現地の事情もわからず、テロ対策などで予定変更を
余儀なくされる場合も多い。
国内よりも、リスク管理術が求められる。

出張先で、宿泊客の様々な要望に応えてくれるホテルの
コンシェルジュ(案内係)を、遠慮せずに使いこなすのが中島さん流。
現地に知恵袋を持つことが、「転ばぬ先のつえ」になる。

取引先を、急に接待しなければならなかったとする。
ガイドに載っているレストランでも、実際に利用したことはないだけに、
雰囲気がカジュアルすぎて接待には適さなかったりする懸念。
コンシェルジュがいれば、「店の雰囲気を細かく聞き出せる」

悪天候で飛行機が飛ばなくなり、鉄道で移動しなければならなくなった
場合でも、コンシェルジュは予定変更やチケット手配などで力に。

中島さんが実体験から学んだ知恵の1つが、
「飛行機に搭乗する際、着替え用のワイシャツや下着をひと組、
手回り品として持ち込む」こと。

2001年9月11日、米国出張中の中島さんはダラス経由で帰国予定。
同時テロで、米国内の飛行機がストップ、ダラスで3日間足止めされた。
着替えをすべてかばんに詰めて、貨物室に預けていたため、困ってしまった。

航空会社の手違いなどで、預けたかばんが行方不明になることも。
着替えや常備薬を分散しておけば、不測の事態に対応できる。

今年1月、米国が搭乗前の電子渡航認証の取得を義務化するなど、
入国手続きの方法が変わることも珍しくない。
旅行会社で事前に情報収集をして、トラブルの芽を摘んでおくと安心。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090415.html

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