2009年4月29日水曜日

社会人ドクターの研究を製品化 岩大の大学院修了生

(岩手日報 4月23日)

今春、岩手大大学院工学研究科博士後期課程を、
社会人選抜枠で修了した高木和久さん(49)による研究が
製品化に結びついた。
接着剤を使わない「分子接着技術」の研究を、
シリコーンゴム製の半導体封止製品に応用、
自身の勤める企業で製造、販売する予定。

「社会人ドクター」として、工学博士の学位を取得するとともに、
研究成果が製品化されるのはまれで、高木さんは、
「今後も大学と連携し研究開発を進めたい」

高木さんの研究テーマは、
「分子接着剤を用いるシリコーンゴムの直接加硫接着に関する研究」
分子接着は、硫黄化合物のトリアジンチオールなどの反応を利用し、
接着剤を使わずに樹脂、ゴムなどを接合させる技術。
岩手大工学部の大石好行教授らが研究に取り組む。

有機、無機、金属材料の接着が可能で、携帯電話やパソコンの
配線基盤のほか、自動車やバイオ分野への応用も期待でき、
産業界が注目する新技術。

今回の半導体封止製品は、電子部品を二枚のシリコーンゴムで
封止する構造。
これまでは、液状の接着剤などで接合してきたが、接着は十分ではなく、
はみ出した接着剤を削る作業などが必要。
化学反応で接合する分子接着では、接着の信頼性が飛躍的に向上、
時間も短縮し低コスト化が可能に。

高木さんは宮城県出身。
工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける朝日ラバー(本社・さいたま市)の
研究所(福島県泉崎村)に勤務、土日に大学院に通う生活を三年間続けた。

「研究が仕事と直結し、大変だったが楽しかった。
今後も、大学と連携し研究開発に取り組みたい」と意欲を見せ、
指導した大石教授も、「社会人ドクターは、企業で取り組んできたことを
学問的に解明する研究が多く、在学中に製品化まで進展した例はなかった」
産学連携の成果を喜ぶ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090423_12

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