(読売 4月19日)
米エール大や英オックスフォード大、東京大など世界の10大学が、
夏休みに学生を派遣し合い、交流を深める
「グローバルサマープログラム」。
2年目の今年、派遣募集に応じた東大の学生は18人。
昨年5人に比べ増えたが、海外から31人も受け入れ、
東大の担当グループは、「もっと積極的にPRするべきか」と頭を悩ませる。
海外から日本に来る留学生が、最近10年間で2・4倍の12万3829人に
増える一方、留学する日本人は2004年度の8万2945人を
ピークに減り続ける。
米国への留学者は、02年度4万5960人が、07年度3万3974人と減った。
文部科学省留学生交流室は、「少子化の影響に加え、学生の気質が
全体に内向きになっている」と分析。
中国の清華大と東京工業大が始めた大学院の合同プログラムでも、
中国からの受け入れは5年間で55人、中国へ行く東工大生は20人。
名古屋工業大は、春休みの1週間、仏エリート養成校の一つ
情報系工科大で希望する学生に、体験授業を受けさせる。
担当の佐藤淳教授によると、「県外にも出たがらない」学生たちの目を、
海外に向けさせるのはひと苦労。
だが、優秀な人材は海外へ飛び出していく。
医薬品の合成に使う新しい触媒を研究する吉戒直彦・東大助教(31)は
今年7月から、シンガポールで研究室を構える。
世界から優秀な若手を招き、3年間で1億5000万円の研究費を支給する
同政府のプログラムに採用。
今年1月の最終面接には、186人から選ばれた19人が参加。
自信満々に研究のアイデアを説明する同世代の研究者たちに、
「負けられない」と刺激を受けた。
中国やスイス、トルコ出身の研究者らとともに、最後の10人に残った。
吉戒さんは、「若手が大きな資金で独立して研究できるのは、
日本にはないチャンス。可能性を試してみたい」
2年前、東大を休学し、米カリフォルニア大バークレー校に編入学した
高瑞軒さん(22)。今年、ハーバード大やスタンフォード大、シカゴ大など
著名な大学院に軒並み合格。
高さんが驚いたのは、学生の個性と能力に応じ、
様々なメニューを提供する米国の大学の柔軟さ。
じっくりいろいろな体験を積みたいと思うようになった。
米国で留学生の就職支援を手がける村磯鼎さん(49)は、
「優秀な人ほど、若いうちに海外へ出て、そのまま戻らずに
活躍する傾向が強い。
一般の学生は、帰国後に安定した職を得るのが難しいから、
リスクを避けて内向きに。科学立国に最も重要なのは人材。
異なる環境で刺激を受けて才能を伸ばす機会が失われるのは、
国の損失だ」と憂えている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/tomorrow/tr20090419.htm
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