(毎日 4月27日)
ビール類生産に使う電力の約3割を、自然エネルギーで作られた
「グリーン電力」に切り替えたアサヒビール。
電気代は、年間1億数千万円余計にかかるが、
一般家庭の4500軒分の排出量に相当する1万8000トンのCO2を削減。
食品業界で初の取り組みの意義を、荻田伍社長に聞いた。
--「グリーン電力」とは?
◆風力やバイオマス、太陽光などで発電された電気。
CO2を排出しないので、地球温暖化防止に役立つ。
東京電力などが出資する「日本自然エネルギー」と利用契約。
--導入の経緯は。
◆環境に配慮することで社会に貢献できると、前々から注目。
02年、稼働した神奈川工場(南足柄市)で330万キロワット時の
グリーン電力を導入。
アサヒビール創業120周年の今年、一気に4000万キロワット時に拡大。
--主力商品「スーパードライ」350ミリリットル缶に、
「グリーン・エネルギー・マーク」を印刷。
◆製造時、グリーン電力を使用したことを示すため。
お客の目線は年々厳しくなっている。
商品やサービスを提供するのではなく、環境に配慮する姿勢も伝えたい。
-売り上げの一部を環境保全のため都道府県に寄付する。
◆ビールや飲料は麦、ホップ、水などの「自然のめぐみ」からつくられている。
感謝の意味も込め、自然保全活動を行うことは責務。
「『うまい!を明日へ!』プロジェクト」と銘打って、
期間限定でスーパードライの缶1本につき1円を寄付し、
地域特性に応じた保全活動に取り組んでいる。
--生産現場でのCO2削減へ向けた取り組みは?
◆これまで麦汁とホップを同時に煮沸していたが、
ホップを別の小さな釜で煮沸し、その後混ぜることで
全体の煮沸時間を短縮し、CO2を3割削減する方法を開発。
昨年9月から順次導入。
ビール類の製造工程で出る廃棄物も、「100%再資源化」を達成。
ビール9工場では、年28万トンの廃棄物が出る。
その8割は、麦芽の殻や皮で、牛の飼料に使う。
汚泥は有機肥料に、酵母は医薬部外品などに利用し、
そのほかは事務用品に至るまで細かく分別。
--CO2の削減目標は?
◆10年までに、酒類部門で90年比15%削減する目標。
昨年までに、ビール9工場で10%強削減。
ビール類の製造は90年比で5割増、1本あたり38%減らしたことに。
--環境への取り組みにはコストがかかる。
◆CO2だけでなく、生産コストの削減にもつながっている。
一時的に費用はかかるが、長い目で見れば収益性改善につながる。
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◇おぎた・ひとし
九州大経済卒、65年アサヒビール入社。一貫して営業畑を歩み、
九州、関信越の両本部長、アサヒ飲料社長を経て、06年3月から現職。
福岡県出身。67歳。
http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2009/04/20090427ddm008020007000c.html
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