2009年5月9日土曜日

パンデミックに挑む:押谷仁さん=東北大教授(ウイルス学)

(毎日 5月5日)

押谷仁さん=東北大教授(ウイルス学)

世界保健機関(WHO)の感染症地域アドバイザーとして、
マニラに赴任していた02年、新型肺炎(SARS)が発生。
事態収束の現場指揮にあたった。
帰国後、その経験から政府の新型インフルエンザ対策に
厳しい注文をつけ続け、行動計画の改定につながった。
新型インフルエンザの発生以降、連日メディアに登場。
状況分析と対策の要を説き続けている>

医学を志したのは、世界を舞台に活動したかったから。
インフルエンザを研究したが、研究室にいても面白くない。
卒業後間もなく、JICA(現在の国際協力機構)の仕事で3年間、
アフリカのザンビアで感染症対策に当たった。

その後、公衆衛生学を学ぶため、米国に留学。
その時、香港で鳥インフルエンザが発生。
それまでも専門家の間で話題になっていたが、
新型は本当に発生すると、強く意識するようになった。

SARSを経験して帰国した時、国内の新型インフルエンザ対策は当初、
水際対策と地域封じ込めだけで、
国内発生後の対策は何も考えていなかった。

今回新型インフルエンザが発生し、
世界的大流行(パンデミック、フェーズ6)目前の状況。

専門家ばかりで議論しても仕方がない。
国民にも、冷静に地域で議論する場を作ってほしいと願っている。
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◇おしたに・ひとし

東京都出身。東北大医学部卒。99~05年、WHO西太平洋地域事務局の
感染症地域アドバイザーとして、発生したSARS対策の指揮を執り、
新型インフルエンザ対策を練った。05年9月から現職。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/05/05/20090505ddm013100143000c.html

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