(日経 9月8日)
大手インドIT企業の業績が、2009年4~6月期に増益に。
受注価格の下落など不安材料は残るが、
米ガートナーのパーサ・イェンガーVP兼最上級アナリストは、
欧米企業のインドIT企業へのオフショアリング
(海外への業務委託)に、「成長路線に戻るだろう」と指摘。
インドIT大手の日本法人への直接投資も、
主導権をめぐる考え方の違いはあっても増えるとみている。
——世界不況で、インドのIT企業の業績悪化。
業績は回復してきたが、インドへのオフショアは今後どうなる?
「世界的な景気悪化の影響による受注の落ち込みは
短期的なもので、中長期的に見れば問題ない。
主要顧客である欧米企業がIT投資を減らしているが、
大幅な減少は一時的で、事業の継続や次の成長に向けた
IT投資は必ず出てくる。
景気回復を見据えた攻めの投資も、様々な企業で今後始まる。
米国や英国、西欧からインドIT企業へのオフショアは、
また成長路線に戻るだろう」
——インドIT大手サティヤム・コンピューター・サービスが
粉飾決算を行っていたが、この問題の影響は?
「インドIT4位だったサティヤムの粉飾問題は衝撃的で、
インドへのオフショアの在り方に大きな警鐘を鳴らした。
システム開発やソフト開発を、インド企業に発注する際の
事前調査が強化され、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)など
大手にも改めて経営情報などの開示を徹底させる動きがあった」
「この問題は、インド企業へシステム開発を発注する場合、
発注先のガバナンス体制やリスク管理体制などの調査を
きちんとしておくべき、という教訓。
財務状況を調べる以外、取締役会の状況なども把握が重要。
実質的な家族経営になっていないかどうか、
取締役会がきちんと機能しているのかなどをチェック」
——08年、インフォシス・テクノロジーズが日本ユニシスと提携、
ウィプロは伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と提携。
「インドのIT企業は、欧米だけでなく、日本でも顧客獲得を
進めようとし、期待も大きい。
インフォシスと日本ユニシス、ウィプロとCTCの提携は、
当初に期待していたほどの効果をまだあげていない。
日本企業との提携だから、というわけではなく、
世界中で同じことが起こっている。
インドIT大手の国境を越えた提携は、世界的にうまくいってない。
提携相手との狙いがずれていることが原因」
「日本場合、インドのIT企業は日本でも主導権を持った
受注活動をしたいと考え、日本のシステム会社の
下請けになろうとは全く考えていない。
日本のシステム会社は、オフショアや海外事業のノウハウ獲得などを
目指してインド企業を手を組んだが、
提携による事業の主導権は日本側が持っていたい。
両社が主導権を譲らないので溝が埋まらず、
具体的な成果を出すのに時間がかかっている」
——インドのIT企業は、日本市場をどう攻めるつもりなのか?
「インドのIT企業は、単独で日本市場を開拓し始める。
業績が回復してくれば、インドIT企業による日本法人への
直接投資が増えるだはず。
大手では、インドで日本市場専任の技術者の育成を急いでいる。
日本語養成機関も作り、言語だけでなく、
文化やビジネス習慣などの教育まで始めている」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090907.html
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