(サイエンスポータル 2009年9月8日)
こうした選り取り見取りの時代が、いつまで続くだろうか?
店頭にずらっと並んだ水産物、居酒屋のメニューに並ぶ
魚介類の名前を眺めながら、そんなことを心配する人は
どれくらいいるだろう。
東京大学海洋アライアンスと日本財団主催のシンポジウム。
名称は、「食卓に迫る危機-3次世代に海を引き継ぐために-」
「漁業者の減少や水産資源の減少などから、
水産物を食卓に供給する能力は低下し続ける」、
「ウナギやマグロなどの大量消費国として、
日本は国際的な責務を忘れていないか」
といった指摘が海洋研究者から相次いだ。
WWF(世界自然保護基金)ジャパンに、
「日本のマグロの目撃者たち」という記事。
世界的な関心を集めている大西洋のクロマグロだけでなく、
日本の南方の海で産卵していると推測される「太平洋クロマグロ」も、
大幅に減少していることに警鐘を鳴らす。
クロマグロが食卓から消える日を座して待つしかないのか?
長崎県壱岐島勝本の漁師たちの生き方を紹介。
一本釣り。
それが品質のよいマグロを持続的にとるため、
彼らがきちんと守り続けている漁法。
5トン級の船に、一人、2人が釣りざおだけを持って乗り込み、
200キロにもなるマグロを一匹ずつ釣り上げる。
「魚を追い込んで、一網打尽に漁獲する『巻き網』漁とは違い、
獲る量を調整でき、魚の獲りすぎを防ぐことができる」
網と異なり、一本釣りのため魚に与えるストレスが小さく、
勝本で取れるクロマグロは業者に高い評価。
勝本の漁協は、昭和30年代に網を使う漁法を全面禁止。
その結果、勝本の漁師たちは優良漁場と、
豊かな漁業資源を守り続けていられる。
大きな網を使って根こそぎ魚類を取ってしまう漁法が、
水産資源の持続的な利用から見てよいわけはない。
子どもでも分かることが、多くの水産業者に受け入れられるのと、
食卓から魚介類が一つ一つ消えていくのと、果たしてどちらが先か?
http://www.scienceportal.jp/news/review/0909/0909081.html
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