(岩手日報 9月5日)
県家畜保健衛生所の獣医師で組織する
県家畜衛生職員会(会長・清宮幸男県中央家畜保健衛生所長)は、
全国的な獣医師不足を受け、獣医師確保対策に乗りだした。
同衛生所は、高病原性鶏インフルエンザや牛海綿状脳症(BSE)など
人畜共通伝染病の防疫、検査などに当たる。
高度な知識と技術が求められるが、慢性的な欠員状態に悩む。
宿泊費を負担して説明会を開催するなど、
学生の勧誘に力を入れている。
県内の家畜保健衛生所は中央(滝沢村)、県南(奥州市水沢区)、
県北(軽米町)の3カ所で、計59人の獣医師が仕事。
岩手大など獣医学科卒業生の進路は、
▽ペットの動物などを扱う小動物臨床、
▽牛や馬など大型家畜を扱う産業動物臨床、
▽家畜保健衛生所など公務員、
▽民間企業勤務―に大別。
学生の希望が一番多いのは小動物で、
産業動物と公務員、民間企業は希望者が少ない。
職員会は昨年から、学生を対象に
家畜衛生保健所の見学・説明会を始めた。
見学後、盛岡市内の温泉施設に学生を宿泊させ、懇親の場も設定。
今年の説明会には、岩手大獣医学科の5年生4人が参加。
学生には、業務実績や職員の論文を送るなどして勧誘を続ける。
同学科6年の渡辺菜の子さん=盛岡一高出身=は、
「昨年の説明会に参加し、所長はじめ職員の熱意を感じた。
岩手の畜産振興のため、頑張っている姿を見て、
公務員に対する考えが変わった」と県職員試験の受験理由。
県は獣医師のため、初任給調整手当を今春から
1万円増やして年額2万円(5年間支給)にするなど、
待遇改善に努めているが、売り手市場は変わらず、厳しい状況。
岩手大農学部獣医学科の谷口和之教授は、
「県は、このところ勧誘に力を入れているようだが、
いずれ、職場の熱意が問われている。
働きがいのある仕事場の提供がなにより重要だ」と指摘。
清宮所長は、「鶏インフル、BSE、口蹄疫など
社会や経済に大打撃を与える家畜伝染病の予防など
仕事は年々、高度化。
定員の充足とともに、優秀な人材の確保が急務だ」と、
今後も学生の確保に力を入れる考え。
【家畜保健衛生所】
都道府県に設置、全国で160カ所、約2千人の獣医師が勤務。
家畜衛生思想の普及、家畜伝染病の予防などを行う。
業務の重要性から、必要な人件費と物品の50%は国が負担。
所長は獣医師で、仕事の運営と責任は獣医師が負っている。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090905_15
0 件のコメント:
コメントを投稿