2010年1月13日水曜日

武道に「回復効果あり」 高次脳機能障害の患者

(2010年1月6日 共同通信社)

交通事故などで大脳に損傷を受け、言葉や記憶に障害が生じる
高次脳機能障害の人たちが、武道に取り組み、
「頭がすっきりしてきた」、「症状が軽くなった」と効果。

医学的な裏付けはないが、専門家は、
「姿勢や呼吸など、体の基本機能を整える武道のスタイルに、
効能があるのかもしれない」

通信販売業長谷川正さん(51)は2003年、歩いていて
車にはねられ、2カ月入院する大けが。
強打した頭は、くも膜下出血と低酸素脳症を起こしていた。

事故から3カ月後、つえをついて歩けるようになり、仕事に復帰。
銀行に行くと、通帳を忘れる。
慣れ親しんだはずの道や電車の乗り換えに迷う。
顧客の顔を忘れ、簡単な計算もできなくなったため、
営んでいた眼鏡店は廃業に追い込まれた。
04年、高次脳機能障害と診断。

05年、小学生の長男と一緒に空手教室に通い始めた。
子どもの習い事に選んだつもりだったが、
事故以降うつうつとした生活が続き、
気持ちの切り替えになればと自身も取り組んだ。

汗をかくさわやかさと、道場の張り詰めた緊張感に新鮮さを感じた。
週1回のけいこに励むうち、師範の形をまねして
手足を動かせるようになった。
頭の中で物事を整理できるようにも。
今、道場には週2回通う。

長谷川さんは、「すべてが完全にはよくならないけど、
よくなる手掛かりをつかんだような気がする」

国立成育医療センターの橋本圭司リハビリ科医長は、
「高次脳機能障害のリハビリは、いきなり記憶や言語の訓練から
始めるより、呼吸や姿勢などを整えることが大切。
気力や体力をつける上でも、武道は理にかなったリハビリ法だ」と評価。

国際武道大の松井完太郎教授は、
「道着を着ることで、気が引き締まる心理的効果もあるだろう」

※高次脳機能障害
事故や病気などで、大脳の一部が損傷して現れる後遺症の総称。
言語や記憶などの知的機能に障害が出る、
計画を立てられないなどの症状がある。
損傷を受けて、しばらくしてから突然現れ、
症状は損傷個所によって異なる。

厚生労働省によると、患者は全国に約7万人(高齢者を除く)。
リハビリテーションには、運動機能回復訓練や職能訓練など。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/1/6/114040/

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