2010年1月15日金曜日

転換期を迎える栄養指導 求められる積極的な食への介入

(日経ヘルス 12月8日)

現在、健康な人が栄養相談を受ける“場”が、
整備されていない。
インフラを整備することが、地域住民の健康情報への
アクセス強化、健康意識の向上につながっていく。
その結果、地域住民が自主的に参加する
健康づくり支援システムが構築できるのではないか。

具体的には、病気になってからではなく、病気になる前に
食生活に介入し、健康づくりを支援していくことが、
これからの栄養指導には求められている」。

北里大学保健衛生専門学院管理栄養科学科長の
多賀昌樹氏は、こう問題提起し、健康づくりにおける
栄養指導のあり方は大きな転換期にある。

新潟県南魚沼地域でスタートした、地域密着型の
健康支援プログラム「天・地・健康人コンソーシアム」では、
地域資源をテーマに、健常者に対する新たな健康づくりの
取り組みが進んでいる。

管理栄養士の立場から、同コンソーシアムの
「食生活改善プログラム」を主導する多賀氏に、
栄養指導の課題・方向性とともに、コンソーシアム活動の
意義や期待について聞いた。

――栄養指導の現状をどのように見ているか?

(多賀) 日本の栄養学は、「足りない栄養素を補う」という
考えから出発、病気になってから指導するアプローチが一般的。
昔だったら栄養失調、飽食となった現在では糖尿病、
脂質異常症(高脂血症)、高血圧などの解消のため、
管理栄養士による栄養指導が行われている。
病気になるのを待っている状況であり、
治療の一環として行われることが主流。

予防や健康増進といった健康づくりの場合、
治療とはアプローチが異なる。
「必要な栄養素を効率的に摂取する」という考えに転換し、
病気になる前に積極的に食生活に介入していくことが求められる。
栄養の偏りや不規則な食生活、過度な痩身願望などを是正し、
心身の健康を増進する健全な食生活を実践することを目的とした
「食育基本法」が2005年施行、
「健康づくりにおける栄養指導のあり方」は、
大きな転換期に差し掛かっている。

――健康づくりに見合った栄養指導のアプローチや考えを
構築することだが、具体的な実施はどのように進めるべきか?

(多賀) これまでのように病人ではなく、健常な人を対象とし、
参加へのハードルを下げ、間口を広げておく必要。
病気の場合、栄養指導の目的は「治療」であり、
患者の自主性も高い。
対象者は限定され、「糖尿病患者のための栄養指導」と
看板を掲げれば、自覚のある人を呼び込むことができる。

健康づくりの場合、対象者が幅広く、その目的も多彩。
治療ほど、明確な目的意識を持って臨む参加者は少なく、
自主性が低い。
栄養指導をはじめとする健康づくりのサービスメニューに
興味を持ってもらい、継続的に実施させるためには、
楽しく気軽に参加できる枠組みを整備する必要。

「メタボ解消」、「アンチエイジング」、「デトックス(解毒)」など、
消費者の関心の高いテーマ設定、
スタンプラリーの実施や認定証の発行など
“テーマパーク”的な要素を導入、
ゲーム感覚や楽しさを強調していく必要。
呼称も、栄養指導ではなく、栄養カウンセリングとすることで
親近感を高めていきたい。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20091208/105189/

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